寒いねって夜空につぶやく
星を見上げて、あなたが、語る……
あなたが
急に会いたいって
言うから
家を飛び出してきた
こんな寒い夜に
何処へ行くのって
家族に馬鹿にされたけど
心配で
心配で
飛び出してきた
あなたは公園のジャングルジムのてっぺんで
空を見上げてた
白い息の私を見て
「やあ」って呑気に片手を上げた
心配していた私が
どうしたのって急いて聞くと
「まあ、とりあえずおいでよ」だって
隣へ行くと
冷たい風が通り抜けて
思わず首を竦めた
マフラーをしてこなかった自分を恨む
あなたはそんな私を笑って
自分のマフラーを外して
私の首に巻いてくれた
あなたの温もりが私を包む
「今日は特別な日なんだ」って
あなたが言う
星が一つ滅んだ日
なんだって
星が一つ滅んだってことは
また一つ生まれた星があるんだって
星という命が散って
その光がたくさんたくさん
時を経て
自分たちに光を届けてくれるんだって
あなたがとつとつと語る
私は
ふーん、と頷く
あなたの温もりが少しずつ
私の温もりになっていく
だから?
って聞けば
「ただ、それだけ」
だって
心配して損した
そう言う私に
あなたは
ポンポンと私の頭を撫でる
あなたの肩にもたれて
私は寒いねって夜空につぶやく
あなたも
「寒いね」ってつぶやく
ただ
ただそれだけの夜が過ぎてゆく……
お読み下さり、ありがとうございました。
夜よりお届けしました……。