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239、商業の街スピカ 〜ジョブボードを確認する

 堕天使になってしまった黒い兎ブラビィ。もともとは、レピュールが創り出した未完成の闇属性の偽神獣だ。他の偽神獣のリーダーとして創られたから、他の偽神獣四体の上位種だという。


 海竜の島で、ゼクトさん、ラスクさん、そしてスキル『道化師』の変化へんげを使い、竜神様の姿に化けた僕で、奴を倒した。だが、特殊な精霊イーターである偽神獣は、殺されても完全に消滅はしない。悪霊として、この世界に存在し続けるらしい。



 ガメイ村で、傷ついた水属性の偽神獣と遭遇したとき、その強烈な魅了を解除するために、僕は、闇属性の偽神獣に変化へんげした。


 それをキッカケに、奴は僕の近くに居るようになったらしい。隙を見て僕を乗っ取る気だと言う人と、逆に、僕を守っていると言う人がいた。


 奴が僕を守っていると主張する人達は、悪霊の行動を面白がっていたようだ。


 奴の狙いはわからない。ただ、僕が『精霊師』極級になれば、新たな精霊を生み出す技能が得られるらしい。だから、それを狙って、僕に恩を売っているのだと言われたっけ。



 ボックス山脈の湖で、堕ちた神獣ゲナードと遭遇したとき、ゲナードによって魔法やスキルが封じられた。だけど、黒い闇のような何かがゲナードを包み、それがゲナードによって爆破されたときには、魔法やスキルを封じる術は解除されていた。


 あの後、天兎のぷぅちゃんが姿を変え、ハンターとして大きな弓を使って、ゲナードを攻撃。だけど仕留めきれず、ゲナードを逃がしてしまったんだ。


 戦いの後、ゲナードによって爆破された黒い何かのカケラを、ぷぅちゃんが吸い込み、そして黒い毛玉を吐き出した。天兎が、眷属けんぞく化するときに使う能力らしい。



 黒い兎が僕に何かを訴えた。言葉がわからなかったから、スキル『魔獣使い』の通訳、そして僕の言葉を理解させようとして従属を使った。


 そうしたことで黒い兎は、ぷぅちゃんの眷属から、僕の従属へと支配権が移動したらしい。


 術返しをされたら、僕は、黒い兎の下僕にされかねない。だけど、僕の従属を外れると、ぷぅちゃんの眷属に戻る。


 だからか、黒い兎は、僕の従属でいることを楽しんでいるようだ。その反面、ぷぅちゃんから僕への当たりがキツくなったんだけど。



 そして、さっき、黒い兎は、僕に名前を授けろとか指示してきて……僕は、ブラビィという名前を授けた。すると、まさかのとんでもない堕天使に……。


 はぁ……とんでもないバケモノ誕生だよ。


 でも、天兎は弱い。影の世界の住人へは、圧倒的な力を持つけど、この世界では弱いから大丈夫か?


 あっ、でも……偽神獣三体は、この世界の精霊イーターだったよな。だから、ボックス山脈の結界に閉じ込められていたんだ。その三体を黒い兎ブラビィは……。




「おい! ヴァンってば!」


 ゆさゆさと景色が揺れる。うん? マルク?


「何? マルク、どうしたの?」


 返事をすると、マルクはヘナヘナとその場に、へたり込んだ。うん? 


「よかった……ヴァンが、乗っ取られたかと思った」


「大丈夫だよ?」


「堕天使に魅入られて、固まってたじゃないか」


「いや、ちょっといろいろ考えていて……」



 魔導学校の校庭では、魔導系の先生達が、何かをしている。壊れた物の修復か。


 あっ、みんなは大丈夫だろうか。僕のそばには、マルクがいるだけだ。ゼクトさんは? それに、神官様やフロリスちゃんは?


「マルク、みんなは?」


「あぁ、食堂に行ったんじゃないかな。ヴァンがさっき使った術で、近寄り難かったからさ。学長先生が転移させたんだと思う」


 うん? 近寄り難かった?


「僕、別に何もしてないけど?」


 するとマルクは、ポカンとしている。久しぶりに見たな、マルクのこの顔。


「あの人が、ヴァンが光っている間は、ガキは近寄るなって言ってたよ」


「ゼクトさんが? 僕、光ってたっけ。あー、黒い兎に名前を付けたときかな」


「名前を付けた後も、ずっと光ってたよ。まるで、ヴァンが堕天使を創り出して、空に浮かぶ偽神獣を簡単に消滅させてしまったようで……俺も少し怖かったんだよな。なんだか鳥肌が立ったというか……」


「ええっ? どうして?」


 僕が聞き返すと、マルクは、またポカン顔だ。いや、引きつっている?


「ヴァン、やっぱり乗っ取られてた? あの堕天使はどこに消えたんだよ」


 僕は、腰まわりを確認した。あれ? 居ないな。


「黒い兎に戻ったよ。どっかに居るんじゃないかな」


「でも天兎なら、あんな姿に変わったら、もう兎には戻らないんじゃ……」


「奴は、もともと天兎じゃないから、そこは天兎とは違うみたいだよ」


 マルクは、納得していない顔だ。


「そう……で、さっきのアレは何? あの人は、ケラケラ笑っていたけど」


 そもそも、ゼクトさんが選択の余地はないって言ったんだよね。確かに、そうだったかもしれないけど。


 でも、名前を付けて大丈夫だったのだろうか。黒い兎は、気を抜くと裏切るって言ってたし……。うー、ゼクトさんに、今すぐ確認したい。


「黒い兎が、名前を授けたら、偽神獣を倒すって言うから……。ゼクトさんは、帰った?」


「学長先生と一緒だと思うよ。この事態の説明をする人が必要だからな」


「あー、そっか。だよね。ふふっ、マルク、ありがとう」


「はい? なんだよ、いきなり」


「いや、僕が近寄り難かったのに、一緒に居てくれて」


「まぁ、俺達は、二人で一人前だからな」


 マルクが照れた?


「あはは、だよね。ちょっと、ジョブボードを見てみてもいいかな」


「じゃあ、俺は荷物整理でもしておくよ」


 マルクは、背を向けた。他人のジョブボードは、特殊な技能がある人にしか見えないのに? マルクには、見えるってことか。




 ◇〜〜◇〜〜〈ジョブボード〉New! ◇〜〜◇


【ジョブ】


『ソムリエ』上級(Lv.3)


 ●ぶどうの基礎知識

 ●ワインの基礎知識

 ●料理マッチングの基礎知識

 ●テースティングの基礎能力

 ●サーブの基礎技術

 ●ぶどうの妖精

 ●ワインの精




【スキル】


『薬師』超級(Lv.2)


 ●薬草の知識

 ●調薬の知識

 ●薬の調合

 ●毒薬の調合

 ●薬師の目

 ●薬草のサーチ

 ●薬草の改良

 ●新薬の創造



『迷い人』上級(Lv.3)


 ●泣く

 ●道しるべ

 ●マッピング



『魔獣使い』極級(Lv.Max)New!


 ●友達

 ●通訳

 ●従属

 ●拡張

 ●魔獣サーチ

 ●異界サーチ

 ●族長

 ●覇王



『道化師』超級(Lv.2)


 ●笑顔

 ●ポーカーフェイス

 ●玉乗り

 ●着せかえ

 ●なりきりジョブ

 ●なりきり変化(質量変化、半減から倍まで)



『木工職人』中級(Lv.6)


 ●木工の初級技術

 ●小物の木工



『精霊師』上級(Lv.3)New!


 ●精霊使い

 ●六属性の加護(大)

 ●属性精霊の憑依

 ●邪霊の分解・消滅

 ●精霊ブリリアントの加護(極大)

 ●デュラハンの加護(超大)



『釣り人』上級(Lv.10)


 ●釣りの基礎技術

 ●魚探知(中)

 ●魚群誘導



『備え人』上級(Lv.3)


 ●体力魔力交換

 ●体力タンク(1倍)

 ●魔力タンク(1倍)



『トレジャーハンター』中級(Lv.1)


 ●宝探知(中)

 ●トラップ予感



【注】三年間使用しない技能は削除される。その際、それに相当するレベルが下がる。


【級およびレベルについて】


 *下級→中級→上級→超級

 レベル10の次のレベルアップ時に昇級する。

 下級(Lv.10)→中級(Lv.1)


 *超級→極級

 それぞれのジョブ・スキルによって昇級条件は異なる。


 〜〜◇〜〜◇〜〜◇〜〜◇〜〜◇〜〜◇〜〜




 なぜか、精霊師のレベルが上がっている。


 それより、ちょっと、これって……何? 魔獣使いは、確か上級レベル10だったよな? いつの間にか、超級に上がっていたのか? だけど……どう見ても、極級に見える。



 新たな技能の説明を表示してみると……。



 ●魔獣サーチ……魔物や獣の居場所やステイタスを調べる。覇王により、自分より強い魔獣からのサーチ無効、及び畏怖効果を与えることが可能。


 ●異界サーチ……近くの異界を調べる。覇王により、異界からのサーチを阻害することが可能。


 ●族長……従属化した種族の長を務めることができる。覇王により、従属化した種族の支配下にある他の種族の長を務めることも可能。


 ●覇王……すべての魔物や獣に対する絶対服従効果。異界の魔獣への使用には注意が必要。魔力消費量が10倍になる。



 ええっ!? 覇王って……。


 他のも確認してみると、覇王により、という説明が加えられている。


 友達、通訳、従属は、成功率が100%になるみたいだ。拡張は使わなくても勝手に拡張されるのか。覇王は、すべての魔獣への絶対服従効果だから?



 うわっ……覇王って、やばすぎる。



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