2020-09-29
「桜木ィ、今日は何の日か分かるか?」
明日から、中間考査が始まるから、一応、帰って勉強でもしようと、放課になって、すぐに帰ろうとしていたころで、真紅が話しかけてきた。
「うん?もしかしてお前の誕生日?」
真紅はやれやれという風に両手を上げ首を振った。
「今日は29日、肉の日じゃないか。というわけで桜木、俺たちは今から焼肉に行く」
唐突な真紅の宣言に、急いで走りだそうとしたけど、後ろから羽交い絞めにされた。
「いやだ。帰って、僕は勉強する」
「だめだ。お前が、焼肉に行くことは決定している。それに、中間考査の勉強なんかしなくても余裕だろ」
そりゃ、真紅は余裕かもしれないけど、僕はそうでもない。実は、古文の課題をまだ終わらせてなかった。
なおも、羽交い絞めにされながらも、もがいていると、横合いから、声が飛んできた。
「それじゃあ、真紅が葉の分、おごりなよ。それなら、葉も焼肉来るでしょ?」
そこには、なぜだか僕と真紅を見て、顔をニヤニヤさせている七夕の姿があった。
「もしかして、七夕も誘ったのか?」
「時雨さんに真紅と焼肉行くって言ったら、私も行きたいって言ったからな。あと、竹刀さんも誘ったぜ」
真紅だけならまだ知らず、七夕も竹刀さんもテスト前にどういう神経してるんだと一瞬思ったけど、よくよく考えれば、三人とも成績はかなり良かった。
「うんああ、わかった。おごるぜ。桜木。それでいいだろ。俺のおごりだ。さあ行くぞ。竹刀さんも待ってる」
これ以上、断り続けても時間の無駄だと諦めてしまった僕は、そのまま、引きずられるように近所の焼肉屋に連行された。
読んでくださりありがとうございました。