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とある男子高校生の日常  作者: 桜木葉
3/10

2020-08-23

 改めて昨日の模試の自己採点をしてみると、6割ほどしかなかった。やっぱり七夕におごるのは決定事項であるようだった。

 そんな自己採点結果を鞄の中に投げ込んで、久しぶりに近所の本屋に足を向けた。外は珍しく曇っていて、いつもより少しばかり涼しいような気がした。

 それでも、本屋のなかに入るとそとがどれほど暑いのか、外から中に流れ込む熱気でよく分かった。

 とりあえず単行本のコーナーの前まで来て、一通り置いてある本に目を通す。一冊の単行本を探していた。でも、その本の背表紙は見つからなくて、今度は新刊をまとめておいてある方に歩いた。実を言うと、その本の発売日は公式には8月24日で地方といえば地方のこの街にすでにその本が届いているかどうかは賭けだった。

 なんとなく昨日の模試の結果のこともあるし、ないような気がしてたけど本当に、少女が夜空を振り返っている表紙の本の姿はなくて、模試の結果以上に心にこたえるものがあった。

 どうしても諦めきれなくて、新刊の補充をしていた定員さんに事情を話すと、少々お待ちくださいと言って、どこかに行って、5分くらいしてから戻ってきた。その手には1冊の本があった。

「ええと、これで間違いないですか?」

 はいっと前のめり気味にうなずいて受け取り、すぐさまレジに向かった。

 ほくほく顔で本を抱きかかえながら、出口に向かっていると、さっき僕が尋ねた定員に中学生くらいの女の子が話しかけていた。

「すみません、河野裕さんの、『昨日星を探した言い訳』っていう本、入荷してますか?」

 そんな二人から視線を外して、熱気を体に感じながら、外に足を踏み出す。

 なんにしても好きな小説家さんの新刊が売れているのを見るのは、なんというか良いものだった。

読んでくださりありがとうございました。

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