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とある男子高校生の日常  作者: 桜木葉
2/10

2020-08-22

 数学、英語、国語、三教科の模試を受けて、僕のシャープペンシルの芯は計6回、折れた。それは、つまり、僕がいら立った問題が計6問あったということに他ならない。

 周りを見渡すと皆一様に脱力していて、教室はいつも以上に騒がしかった。僕も半ば放心したように、三教科の解答を受け取って、気づけばいつの間にか放課になったようで、こちらを見て親指を立ててグッドサインをしながら、教室から出ていく真紅の姿が視界の端に映った。たぶん早く家に帰って、一昨日くらいから読んでいる小説の続きを読むのだろう。今日の短い休み時間も、他のクラスメイトが単語帳なり問題集なりを開いているのに、真紅の手には『楽園とは探偵の不在なり』と表紙に書かれたハードカバーの小説を手首を傾けて持っていて、それがひどく場違いだった。

 立ち上がる気も起きないで、手に持った数学の解答・解説をペラペラとめくっていると、机の前に誰かが立っている気配がして顔を上げた。

「テスト、どうだったの?」

 あからさまにニコニコ顔の時雨七夕を見て、僕はすぐに負けを悟った。

「だいたい7割5分8厘くらいかな」

「ふふふふ、今回は、私の勝ちだねー。だいたい9割くらいかなー」

 苦し紛れに、まだ結果が出たわけじゃないよと、呟いたけど七夕には聞こえていないようだった。取れないときは6割くらいの得点率なのに、嵌まったときの七夕は恐ろしい。

「じゃあ、また今度、おごってね」

 そう言って、足取り軽やかに、七夕は教室を去っていった。

 七夕と話しているうちに、もうほとんどの生徒が教室にはいなかった。いい加減椅子から立って、鞄を背負う。

 とりあえず帰ったら、自己採点をしなければならなかった。

読んでくださりありがとうございました。

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