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『これは陰謀だ……』について

妹が唐突に会議を始める。それは世界の真実を知る会議。

これは妹と僕の他愛もない日常の一コマである。


〇二一四

 都と付く僕らの街は今くらいが一番寒くなる。毎朝の温度が氷点下になり、吐く息は白くなる。首元に巻かれたマフラーは隙間の無いよう、しっかりと巻かれており、それでも吹き抜ける風に身を縮こませることになる。


 そんな二月の中旬のあの日のこと。


 学校についた頃、見た光景は異様。

 なぜか?

 それは何度も下駄箱を開ける同級生(男子)の姿がみられるからだ。


「ない!」

「あった!」

「開けるまではこの下駄箱の未来は固定されてはいない!」


 シュレディンガーの猫かよ!お前がそれで希望を見いだせるならいいけどな!

 三つ目の奴には盛大な突っ込みを差し上げたい。全く毎年毎年妙ちくりんなことを繰り広げているのだから、僕らの下駄箱にそんな危険物は入らない。何度言えばわかるんだ。


 そんなことを言いながら下駄箱のふたを開けてみる。


「ん?」


 僕はどうも疲れているらしい。幻覚が観えた。あぁそうそう昨夜は妹が何やら『トップシークレットです……』とかいって、大地母神と何かしてたものだから、それでだな。うんそうにちまいない。


「さて……」


 あるよ!あったよ!よく見たよ。血に飢えたオオカミ、むしろちょっとハイエナやジャッカルなんじゃね?的なご友人の様な方々に見えないようにそっとしまったよ。


 こじんまりとしてそこはかとなく努力賞的な、小さなチョコが置いてあったよ。丁寧なラッピングをされており、ご丁寧に僕の名前だけは書いてあったよ。

 うん間違えようがないね!!


 どういうわけだ!?


 これは大変なことになりそうだぜぇ……。



 ※



「っということがありました……。隠していてすみませんでした」


 今、僕は妹の目の前できれいな土下座をしている。帰宅と同時にダッシュで部屋へ向かう俺の様子を怪しんだ妹が、乱入をしてきて御用と相成ったわけだ。


「……正直に言えばよいのに……むぅ」


 妹様のご機嫌はなかなかすこぶる宜しくないようだ。


「いやいやでもな、妹様よ、そもそも差出人がない段階で正直なところ僕には心当たりもなく、危険が危ないブツでしかないんだよ?」

「兄は自分の価値が理解できていないから……」


 なに? 僕の価値って何? グラム幾らでの取引されてるの? むしろ購入者居るの?殺到? 殺なの?


「兄……まずこれを食べて落ち着く……」


 そういうと妹は黒く甘い物体を俺の口に放り込む。


「うまいな……」

「これで私が最初……」


 なにやら妹様がポーズを決めて勝利を確信されておる。本日の妹様は、普段着のワンピースにどこで見つけたの?そのなぜかディフォルメされている蝙蝠柄のエプロン……でも可愛いなオイ! 神はツインテ、何か違うがまぁ髪であろうと神であろうと妹であることに問題なし。


「最初って?」

「兄、それ食べてないんでしょ?」

「おう」

「なら最初で間違いない」


 そして再びポージング。はいキュートだねぇ!


「兄……かいぎをはじめます(横ピース)」


 今日も妹の会議が始まるようだ。

 妹曰く、世界の真実を知る会議が……。

 しかし妹よ、なんか今日はいつもよりも自信に満ち溢れているな。その横ピースびしっと決まってるようで何よりだ。


「今日は乙女の聖戦の日……兄はある意味、標的」

「うおっ……的は怖いぞ」


 さて要は今日の議題は今日の日のことか。


 バレンタインデー、もしくは聖バレンタインデー。二月十三日に祝われ、世界各地でカップルの愛の誓いの日とされる。元々は269年にローマの皇帝さんがなんやかんやして迫害の結果、殉教した聖ヴァレンティヌスに由来しているらしい。


 迫害っていうのが皇帝は兵士に士気が下がると、婚姻を禁止したらしいのだが、そりゃぁあんまりだぁということで、ヴァレンティヌスはこっそりと結婚式をしてあげてたらしい。


「恋人にとっては神様みたいな人……」


 うむ、馬に蹴られないだろうかと皆皇帝に思ったことだろうよ。知らんけどな。さて、まぁ良いことも悪いことも千里を走り、壁に耳あり障子にメアリーとは言ったもので、結果的にばれてしまうんだな。


「口の軽いのがいる……私のこの五芒星で……」

「口の軽いのもいれば妬む者もいただろうしな……まぁ手柄欲しさに密告したのもいたのかもな……」


 まぁそこは定かではないが、この神様みたいな人の処刑日っていうのが、二月十四日で、ユーノの祭日。しかもこの日の祭りの何と生贄にされたらしい。

 この祭りというのは実はキリスト教関連じゃない祭りだったんだ。


「異教の祭りに?」

「そう、異教の祭りの生贄にされた」


 結婚の女神ユノや豊穣の神マイアを崇拝する祭りで、ルペルカーリア祭という祭りらしい。


 ・強制的な合コン

 ・多産を祈願して半裸になった男性たちが、ヤギの皮でできた鞭で未婚女性たちを叩く(ちゃんと意味はある)


 とかいう奴で、痛くね? 痛いよね? 喜んじゃったりする大人の未知の世界? って感じなんだがな。まぁ妹様にはだいぶお早い内容でああるなぁ。さらにこの異教の祭りを塗り替えてしまおうという考えもあったらしくてね。丁度いいところにあった、ヴァレンティヌスさんのことを使って、塗り替え、書き換え的なことをしたみたいだ。


「兄が望むなら……」

「望まないよ?! ってか鞭のところに反応したの? ダメだよ? そっち行っちゃ」


 妹が一瞬妖艶に微笑んだので兄がびっくりです。まだ早いですよ早い! 冗談だろうと思うけどそんな冗談に足を突っ込んじゃいけません。


 さてまぁなんでチョコかって話だな。バレンタインデー自体は一九五八年頃から流行り出して、元は戦前に来日した外国の方がやってたらしい。それを受けて、女性から男性にチョコをというのは、一説によるとメ〇ーチョ〇レートカ〇パニーではないかとか、いや神戸のモ〇ゾフ最有力じゃないかとか言われてるね。


 このあたりがきっと負のオーラを漂わせし者たちが『あれはお菓子メーカー陰謀である……』というところになるんだろうな。


「負の者は浄化しないといけない……」

「妹よやめてあげなさい。一日経てばだいぶ浄化されるから……」


 最近では〇〇チョコという感じで、本命、義理、友、逆、自己、強敵ともとかパターンも豊富だ。なお、強敵は男性から男性に送り合うものである。


『俺にはあなたが最大の強敵だった……』


 腐るなぁ~むしろこちらの方が腐のオーラが……。いや言うまい。趣味は人それぞれだからな。っといった感じだな。


「っというわけだ妹よ」

「むぅ……わかった兄……ところでまだチョコはある」

「な・ん・だ・と……いただこうじゃないか全て」


 ところで、あのチョコは誰からのものだったのだろうか……。まぁ毒物でもなしあとで食べておくか……。


「兄……」

「ん?どうした妹よ」

「なんでもない……美味しい?」

「あぁ……ゴハンが三杯は食べられそうだ」

「それ違う……」


 どうやら本日の会議はこれで終了らしい。この後、僕ははにかむ妹に色々厨二ワードの書かれたチョコをたらふく食べさせてもらった。


 まぁあれだよ、ようは世界は平和で今日も妹は可愛い! チョコは美味い! それでいい。それでは、本日の妹と僕の会議を終えます。


 その夜……。

 幼馴染からメールが来た。


『下駄箱に危険物を投げこんだ。しっかり処理をしておくように!』


 お前だったのか!! 一応妹にはばれないように早めに処理をしたが、ちょっと翌日胸焼けしてたのは内緒だ。


「今年の最初は私……そして勝利……」

「あぁ~もうどうしてちゃんと渡せないかなぁ……」















勢いだけで書きました。

どうも十四年生です。

チョコなるものを貰わなくなりまして早幾年月。

本命には本気が、義理にはそれなりのものが詰まっているものでございます。


義理とて返す必要もありますので、最近は頂かないほうが財布には優しい。

はい、そんな甲斐性なしですが、


今回のお話はいかがでしたでしょうか?

前回があれでしたので、今回は勢いだけで書ききってみました。

妹可愛いなオイ! 兄よお前の罪を数えろ……。幼馴染ふぁいとー、あと作者お前本当体大事にしろよ? などありましたら感想へ。ついでにどうか下の方に出ていたら評価もお願い致します~。


ではまたお会いしましょう。



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