お父様とお爺様は強い
日課の走り込みをしながら家族の事を思い出してみた。
お母様はお嫁に来たため、とてもお嬢様らしいし、華奢なのだ。フォークより重いものは持ったことがないんじゃないか?と思ってしまうくらい。
お父様はこの地で育っただけあり強い。グレイト・マントヒヒなんて余裕で倒せる。
今でもお爺様と剣の稽古をしているのを見かけるが、二人とも早すぎて目で追えない。
お爺様は若いころ冒険者をやっていて、Aランクの冒険者にまでなったらしい。
この世界では冒険者のランクはS・A・B・C・D・E・Fとあり、Sランクの冒険者は世界に数人。Aランクは世界に十五人。Bランクは千人。以下略。くらいになっているらしく、Cまでは努力すればなれるらしいが、Bはスキルを使いこなせる様になればなれるらしい。
が、Aランク以上はいわゆる化け物と言われるくらいに強くなるらしいため、この人数になっているようだ。
AランクとBランクの差がひどすぎないか?と最初知った時に思ったが、それがこの世界なので諦めるしかないだろう。
お爺様Aランクとか強すぎじゃない?そのお爺様との稽古について行ってるお父様も相当強いよね。
などと考えながら日課になっている走り込みをしているとお爺様が庭の反対側から、こちらに向かって手を振っている。
お爺様に走りながら近寄ると、
「リリー。ここ一ヶ月走り込みをしてるようだがそろそろ剣の稽古をしてみんか?」
「お爺様。私は一人で村の中を出歩くために魔物から逃げ切れるだけの脚力をつけようとしているだけで、魔物を倒そうなんて考えていませんわ」
「リリー。魔物からは人間の足では逃げ切れないよ。脚力を付けることは大切だが、倒せる様にならなければこの村の中で歩き回れないんだよ。」
お爺様が真剣な顔でそういうので私は
「はい!!お爺様。私、剣の稽古をしますわ!!」
私は元気よく返事をしてしまったのだった。
これが地獄の特訓になるとも知らずに。