生き残るのに必要な物
しかも魔物図鑑にグレイト・マントヒヒはDランク冒険者が三人か、Bランク一人で倒すのが普通と書いてあるし、オレンジ猿は仕留めるためにはCランクくらいの力が必要。タヌキツに至っては攻撃力は大してないが気配を消して隠れてしまうため、
市場にその毛皮が出回ること自体が稀で、市場に出たら王族が乗る馬車を買えるくらいの値段になるそう。
考えれば考えるほど頭がクラクラしてくる。
お嬢様とかいうから剣の稽古とかせず、優雅にお茶飲んでればいいかなって思ったのに。
村の中を歩くには少なくともグレイト・マントヒヒから逃げ切れるくらいにまで強くならないと死んでしまう!
そもそも屋敷の外に出なければ死ぬ心配もないんじゃないかって?
そんなことしたら退屈過ぎて死んでしまう!!
心が、持たない!!
ということで、充実した私の将来のために、魔物から逃げ切るには何が必要か?
それすなわち脚力!
ならば走り込みあるのみ!!と意気込み私はその日から庭の・・・庭と言うよりもはや畑となっている庭の周りをグルグルと走ることにした。
―走り込みを初めて一か月がたとうとしている。
初日は走りなれていない体のため、一周(約400m)走っただけで息が上がってしまっていたが、今は十周くらいなら余裕で走れるようになっていた。
走り始めて二日目に、私が走り出したことを知った母様が
「今まで走った事なんてなかったのに、いきなり走り出すなんて・・・死んでしまうわ!!」
と軽くパニックになっていた。
死にません!走ったくらいで人は死にません!
こうして私は、パニックになっていたお母様をお父様に宥めてもらい、生き残るための脚力を付けるため日々走り込みを行っているのだった。