皆に心配されました
私はあたりを見回す。お母様はまだ帰ってきていないようだ。どこまで呼びに行っているのだろう。
ボントさんがそんな私を見て、旦那様を呼びに行ってまいりますのでお嬢様は安静になさっていてくださいと言い残し、看護師のお姉さんだけ残し部屋から出ていった。
しばらくすると廊下が騒がしくなり、お父様が勢いよく扉を開いて入ってきた。
その後ろにボントさんの姿もお母様の姿もない。
どうしたのかと首をかしげると、お父様が疑問に答えるように
「あぁ、母さんは俺にリリーが目を覚ましたと伝えると、ベッドに倒れ込んで眠ってしまったのだよ。そのあとにボントさんが来たから一様大事がないか診てもらっているんだ。母さんを診たら戻ってくるって言っていたからまたすぐに来るよ。」
それより、とお父様は少し涙ぐみながら
「良かった。無事で。三日三晩高熱を出して眠り続けるからこのまま目を覚まさなかったらどうしようかと・・・。神様に連れて行かないで下いってお願いした甲斐があったな。」
と私の手を優しく握ってくれた。
お父様の手はとても暖かかった。
そのまま眠りそうになるのを我慢していると、ボンドさんが部屋に戻ってきた。
お父様と何か話をしているが、耐え切れなくなって私はまた深い眠りに落ちていった。
あれからすっかり元気になった私はとりあえず自分の姿を見てみることにした。
薄い茶色の髪は日の光に当たると金色のようにも見える。瞳は髪と同じ薄い茶色。
顔立ちは美人の部類に入るだろう。自分の姿を一通り確認した私は今の状況を考えてみる。
貴族としてはあまり裕福ではないにしても伯爵の身分はあるし、今回はすぐ死ぬ心配はなさそうでよかっ・・・
なんか引っかかるな。
そういえばこの領地の事についての授業はまだやってないな。
私はこの領地「オルフェイ領」の事を調べてみることにした。