次の人生が始まりました
ー魔王が復活したその年、王都より遥か遠くの小さな村にある貴族の家で赤ん坊が産声をあげた。
女神さまお元気ですか?私は今の状況に理解が追い付いていませんが、とりあえず生きているようです。
私は気が付くと階段の一番下に寝転がっていた。いや、倒れているといった方が正しいかもしれない。私はたった今階段の一番てっぺんから足を滑らせ転がり落ちたのだ。
そしてそれまで忘れていた前世の記憶。女神さまとの記憶を思い出した。
私が倒れている事に気づいたのか、近くでお母様の悲鳴が聞こえるが、私の意識は急激に流れ込んでくる記憶に押し流され視界が真っ暗になった。
次に目が覚めたのはベッドの上だった。隣にはあまり寝ていないのだろう、目の下に濃い隈を作ったお母様がいた。
私が目を覚ました事に気が付くと
「あなたーーーー!!リリーが、リリーが目を覚ましたわ!!」
と叫びながら走っていくのが見えた。
その声にお医者さんや数少ない使用人たちが集まりだす。
「お嬢様。ご自分が誰だか分かりますかな?」
初老のお医者さん。ボントさんが聞いてきたので
「えぇ、私はリリアン。リリアン・オルフェイ。五歳です」
続けてボントさんが
「ここがどこだか分かりますか?」
「私の部屋です。」
それを聞いてボントさんは安心したように
「大丈夫そうですな。無事で何よりです。」