リスとしての習性
翌日、騎士団入団についての手紙を執事のバーナーさんが持ってきてくれた。
―三日後、朝の11時に入団の義を行う。玉座の間に来るように。
紙にはそれだけしか記されていなっかた。
どのような事をするのか分からなかったので、バーナーさんに聞いてみた。
「入団の義って具体的に何をするのでしょうか?」
「そういえばこちらに来たことはありませんでしたね。なに、心配することはありませんよ。儀式を進めるものが指示を出しますので、それに従って動けば上手くいきます。」
「そうなんですか?では、当日までに私がやっておくべきことなどは何かありますか?」
「そうですな。荷物をまとめて頂いて、兵舎に移動する準備をしていただければよいかと」
「分かりました。では、三日後までには荷物をまとめておきます。」
「はい。よろしくお願いします。では、失礼いたします。」
そういってバーナーさんは部屋から去っていった。
バーナーさんを見送ったあと、部屋の中を見回すと、女神さまは隅でクルミをせっせと割っては頬袋に詰めていた。
「・・・ところでアリー。騎士団入団の義について知ってます?」
「あら、知っているわよ。それがどうしたの?」
「ちょっと練習相手になってくれませんか?」
そういうと女神さまはクルミを詰める手を止め、
「んー。どうしようかしら。」
と可愛く小首をかしげている。頬はパンパンのままだ。
私は女神さまの目の前にクルミ入りクッキーの入った包みを差し出し。
「そこを何とか!」
と手を合わせると
「しょうがないわね」
と言って女神さまはクッキーを袋ごと持って机の引き出しにしまいに行った。
私は女神さまの小さな背中に向かって
「ありがとうございます!」
と自分でも少し驚くくらい大きな声でお礼を言ったら、
「私はクッキーのためにやるんですからね」
そう、恥ずかしそうに言っていた。




