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王様との交渉

玉座の間に入るとすでに王様は待っていた。こちらをみて薄く笑っている。

私は中央に進み出て頭を下げる。



「よく来たな。昨日の試合は見事であった。あのまま剣だけの勝負なら勝てたかもしれんが・・・まぁ勝負の世界だ。お前が負けたことに変わりはない。ゆえに約束通りサイラスをここへ呼ばせてもらうぞ。よいな?」


私は頭を下げたまま


「王様、その件についてお願いがございます。」



「ほぅ、申してみよ。」


私は頭をゆっくりとあげ、王様をまっすぐに見つめる。


「虫のいいことだとは分かっておりますが、どうかお爺様をここに呼ぶことをお考え直しいただけないでしょうか。」


「サイラスを呼ぶなと?では代わりにお前は何を差し出す?領民か?戦えるものがいないからお前が来たのだろう?戦えない民を祖父一人の命のために差し出すとでも言うのか?」


「・・・領民も家族も私の守るべき人たちです。なので、どうか私一人で済ませていただけないでしょうか。」


「さて、どうしたものか。先の条件でお前は私に二つの条件を出した。だが、私は一つしか条件を出しておらんのだぞ?その時点で釣り合いが取れておらんというのにさらにその条件を考え直せと?お前一人が1年兵をやったところで到底割りが合わんな。」


「・・・では、何年ほど兵となればよろしいでしょうか?」


「そうだな、10年。というところかの」


「では、10年兵として使って頂けないでしょうか。」


「残念ながら兵は他国との戦の時しか集めとらん。国内の事は騎士団が主に動いておるからな。」


「では、騎士団に入れていただけないでしょうか。」


「女の身で騎士団で10年働くと?」


「はい。王様がお許し下されば騎士団にて役目を全ういたします。」


王様は口元に笑みを浮かべて

「面白い。ならばやってみるがいい。入団については追って連絡する。」


私はドレスの裾を軽くつまみんでお辞儀をし


「王様のご恩情に感謝いたします。」


といい、その日の王様との話し合いは終わった。


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