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王と執事の話

玉座の間を出てしばらくたった時に執事のバーナーが話しかけてきた。


「良いのですか?王。」


「何がだ?」


「本来ならばいくらあの娘が強かろうと、兵を差し出さなかったオルフェイ領は爵位を召し上げられていてもおかしくはありません。なのに、試合で勝ったら許すと王は仰いましたが、それが寛大な処置なのに対し、あの娘はもう一つ条件を出しました。我らももう一つ条件を出してもよかったのではありませんか?」


「ふっ、そなたはこれだから頭が固いというのだ。あの場でもう一つ条件を加えなかったことがわざとだと気づけ。」


「失礼いたしました。では、理由をうかがってもよろしいでしょうか?」


「・・・あの娘が本当に騎士団長に勝てたら?そこまでの力があるのだ。一令嬢として置いておくのは勿体なかろう。俺の手元に置きたい。それに、だ。あの娘が負けたら負けたでサイラスが来るなら戦力的にも問題なかろう。サイラス一人いれば戦況はひっくりかえせるからな。」


「では、王はあの娘が勝ったら騎士団に入れるということですな。」


「まぁ、そういうことだな。それにしてもサイラスめ、人数を指定しなかったからと言って孫娘一人だけ寄越すなんておかしいのではないか?」


とブツブツ文句を言いながらも王の目は輝いていた。

―さぁ、お手並み拝見と行こうか。


明日の投稿は諸事情により、お休みさせていただきます。

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