王様と対面しました2
私はそこで、一つ深呼吸をすると、
「ここにおります」
と今できる精一杯の笑顔をしながら答えた。
すると王はキョトンとした顔になり、
「何を言っている?」
私は自分を指さし
「ここに、援軍はおります。援軍と言うには語弊がございますので、助っ人と言い直させていただきます。」
「・・・・・は?お主が助っ人?サイラスではなく?」
「はい。このリリアン・オルフェイ祖父の代わりに助っ人として参りました。祖父から王様あてに手紙を預かっておりますのでこちらをどうぞお読みください。」
王様宛の手紙を差し出すと、バーナーさんが王様の元へ手紙を持っていた。
その手紙を眉間に皺を寄せながら読んでいたかと思うと王様は突然笑い出した。
「フハハハハハ。サイラスめ、『わしの孫は見た目天使じゃが、剣の腕はわしより強いゆえ一人で一万の兵の働きをするからよろしく頼む。』と書いてきておる。面白い。あのサイラスが自分より強いという孫。リリーといったかな?そなたの腕前を見せてもらおうか!」
「・・・刃のついていない剣での勝負でしたらお受けいたします。」
そうお辞儀をしながら答えると
「ふむ。刃のついていない剣か・・・。よかろう!だが、相手はこちらの騎士団長とする。そなたが勝ったら爵位の召し上げは無しとし、こちらが勝ったら、そうじゃな・・・サイラスを兵として出陣させる。」
その言葉に弾かれたように頭を上げた私は
「祖父は、二年前に足を怪我しているため、戦いには出られません!!出れたとしてもすぐに敵にやられてしまいます!!」
王はこちらを見つめたまま私の話を聞き、
「ほぅ、ならば何が何でも勝たないといけないな。ククク」
先ほどの豪快な姿はどこに行ったのか、冷たい笑顔を浮かべる王に私はどんなことをしても勝たないと私だけでなく、お爺様も殺されてしまうのではないかと思ってしまった。
「つっ、見事この勝負に勝って見せましょう!その代わり私が勝ったら爵位召し上げ免除に加え、お爺様をここに召喚しないことをお約束くださいませ。」
「よい。約束しよう。試合は今夜七時、城にある騎士の訓練場にておこなうゆえ、しっかりと準備をしてこい。では楽しみに待っておるぞ」
そういって王は玉座から立ち上がり、去って行ってしまった。




