女神さまとはお友達
翌朝、私は出立した。
出立するときにお爺様が鞘に赤い宝石が埋め込まれた短剣を私にくれた。
お守りだから、持っていけ。と
『そんなに急がなくても』とみんなに止められたが、早くいかないと決心が鈍ってしまいそうで怖かった。
私の肩に乗ったリス、女神さまがクルミをかじりながらしゃべりかけてくる
「まさか兵に出るなんて言い出すとは思わなかったわ」
「私も自分で驚いてます。」
「貴方の目標って確か老衰で死ぬことだものね。」
「はい。でも、もう決めたことですので、こうなったら何が何でも生きて帰ってきますとも」
胸の前で拳を握る私に女神さまはクルミを差し出して、
「大丈夫よ。私があなたを死なせないから。女神・アリアンの名に誓ってね。」
「今更ですけど、女神さまそんな名前だったんですね。」
「えぇ、これだけ顔を合わせてるのに名前を今まで名前を聞いてこなかったあなたに私は驚いているわ。」
「女神さまは女神さまですし、名前があるなんて考えたこともなかったですね。」
クルミを受け取りながらそう答えると、
「まぁ、私もあえて名乗る必要はないと思っていたわけだから別にいいのだけれど、その、ね」
少しもじもじしながら、恥ずかしそうにこちらを見つめる女神さまになんですか?と聞くと、
「その、私とあなたももうこの世界に来てもう十年以上の付き合いだし、私の事を、『アリー』と友達のように呼んでくれてもいいのよ?」
私はその言葉に少し面食らってしまった。まさか女神さまから『友達』なんて言葉が出てくるとは思ってもいなかった。が、そんな女神さまが可愛く、顔が勝手にほころんでしまうのは仕方がないと思うのだ。
「じゃあ、アリーと呼ばせていただきますね。」
私がそういうと女神さまはパッと顔を輝かせ、クルミをもう一つ差し出しながら
「えぇ、よろしくってよ」
と言ったのだった。
やっと旅立ってくれました。




