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心配はしてるんです
リリーが兵に行くと決まった夜。
リリーの祖父であるサイラスと父であるグラハントは二人で酒を飲みながら話していた。
「父さん、やはりリリーを行かせるのは反対です。もしリリーに何かあったらどうするのです?そんなことになったらもう、私は立ち直れません。」
「じゃがな、リリーのあの目を見たか?小さいころからあの目をするときはもう心に決めてしまったときじゃった。ああなってしまったリリーはもう何を言っても己の考えを譲らんじゃろう」
「せめて、何かあの子のために何かしてあげれればよいのですが・・・」
「そうじゃ!家に代々伝わる剣をあの子にやろう。きっと守ってくれるはずじゃ。それにあの王なら悪いようにはせんじゃろう」
「そう、ですね。」
うつむきながらグラハントはそう答えた。
その後も二人で何かを話してはいたが、話を盗み聞きしていた白いリスはスルスルと壁を登り、リリーの部屋に戻っていった。




