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お父様も脳筋でした。

そんな記録を打ち立てたなど知らない私は、今日も庭をグルグル走っていた。


お爺様が昨日の晩村の人と飲みに出かけて今日は二日酔いのため、いつもの稽古はお父様とやることになっている。


私は今まで知らなかった。いや、見て見ぬふりをしてきたが、この日現実と向き合う時が来てしまったようだ。


―お父様はお爺様以上に脳筋だということに。


「いーーーやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

村に私の悲鳴がこだまする。

私は今全力で二頭のグレイト・マントヒヒから逃げている。


そう、二頭だ。


それに今回は防具なし、武器は木刀のみというなんとも無謀なスタイルで挑んで・・・挑まされた。

お父様は何を思ったのか、


「昨日リリーの討伐を見ていたが、あれなら二頭同時も行けると思うんだ。あと、その兜と鎧は動きにくそうだから没収な。頑張れよ。」


と親指を立てて爽やかな笑顔を残して去っていった。


何が頑張れよ。だ!立てた親指をへし折ってやりたい気分だったが、今はそんなことをしている場合ではない。

この状況をどうにかしないと、一発は攻撃を受けても死なないが、二発連続はダメだ。死んでしまう。

どうにか一頭ずつにして倒さないと。


そして私は目の前の大きな木に気が付いた。


あの木をうまく使えばこの状況を打破できるのでは?

善は急げだ。私は木に向かって全速力で走っていった。

木にぶつかるギリギリで上にジャンプし、枝に乗った。


するとすぐに木に衝撃が走った。枝にしっかりと掴まっていたので転落は回避できた。


―ドンッ、ドサッ


二頭のうち一頭が木に頭を打ち付けて頭が割れたらしい。

一頭は倒せた。


もう一頭はぶつからずにすんだらしく、

フスフス言いながら辺りを嗅ぎまわっている。



枝に乗ったまま機会をうかがい、

そいつが私の真下に来た瞬間に枝から飛び降り、木刀で頭をかち割った。




ー目の前には二頭のグレイト・マントヒヒが頭から血を流して倒れている。

その光景を私はお父様が近くに来て肩を叩くまでボーっと見ていたのだった。


こうして村で初めての、成人前に二頭同時に倒すという記録を立ててしまった。


後から来たお父様がこの状況を見て感心したように

「ほぉ、本当に二体同時に倒すとはな。こりゃ歴代最強になるかもな。」

と呟いていたが、放心状態だった私は聞いていなかった。


まさかこの『歴代最強』が私の人生を変えるとも知らず。



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