ワクワクしているときは悪いことが起こります
その日はお爺様がいつもよりワクワクしていた。
思えばこのときに逃げればよかった。
後悔してももう遅い。
今私の目の前には自分の三倍ほどの大きさのイノシシみたいな魔物がいる。
そう、グレイト・マントヒヒだ。
確かに、絵本には大きいぞ!とは書いてあったし、グレイト・マントヒヒの横に小石みたいな大きさの人間が書かれてはいたが、まさか本当にそんなに大きいとは思わなかった。
どうしたらいいんだろう?お爺様は私をグレイト・マントヒヒが見える位置に連れてくると
「じゃあ、頑張れよ。見守っててやるから。きっとお前なら木刀でもいける」
と言い残し、どこかに消えてしまった。
その後姿を見送った後我に返り、自分にといかけてみた。
落ち着け、私。今の装備は?
・木刀
・鉄の鎧
・鉄の兜
・・・・・以上。
やばいやばい。木刀であいつを倒せとか何考えてるの?!
お爺様は筋肉馬鹿だとは思ってたけどここまでだとは思ってなかったよ。
だが、生き残るには逃げるといってもこの装備では逃げることも出来ない。
脱ぎ捨てる時間もない。やるしか、ない。
お爺様との地獄の訓練を思い出しながら静かに向かい合う。
グレイト・マントヒヒがこちらに向かって走ってくる。今がその時!と木刀を振りかざし攻撃に移った瞬間―
腹部に衝撃が走り、続いて宙に浮く感覚に襲われ、目に青空が飛び込んできた。
青空を見ながら、あぁ、また私は短い人生で死んでしまうのか。
と思いながら意識を失った。




