リスになった理由
スルスルと右の肩に登ってきたリス・・・ではなく、女神さまは喋りだす
「それはね、上司があなたが記憶を取り戻した時点で、あなたの所に行きなさいって言ってきたのよ。
でね、常に近くにいた方がいいのかなって思って小動物になってみたんだけど・・・」
言葉に詰まる女神さまに続きを促す。
「小動物になるとね、世界が思ったより広いから迷っちゃったのよ。
それで一年くらい遅れてしまったわ」
てへっとする女神さま。迷ったことについて私は触れないで行こうと思う。
「上司の命令でこの世界に来たのは分かりましたが、なぜリスなんです?」
「かわいいでしょ?リス」
「普通、猫とか鳥なんじゃないですか?」
「あら、いいじゃないリス。ノウシカみたいで」
「ノウシカって何ですか?」
「貴方あの名作を知らないの!?」
と小さな手を小さな口にあて驚く女神さま。そんなに有名なのだろうか?
「いいわ。ザックリ教えてあげる。ノウシカて言うのはね、「NOと言える鹿野」略してノウシカっていうんだけどね、鹿野って苗字の女の子が風の力を操るリスと一緒に世の中の社畜の元に出向いて「その仕事NO!」と言って社畜がしようとしている他の人の仕事をすべて消していく名作よ。もちろん書類だけじゃなく、パソコンのデータもすべて消すの。それで社畜を開放していくのよ!!痺れるわよね!!」
興奮気味に話す女神さま。
私はその社畜の人が消されたデータを泣きながら復旧しようとしている姿が目に浮かんだが、考えなかったことにする。
あと、風の力はいらないんじゃないかな。
女神さまが今度見せてあげるわ!なんて言っているのを聞き流しながら、私はまた走り込みを再開するのだった。
その夜。私は女神さまにより、ノウシカの夢を見せられた。




