1話 森の中
「うっ・・・ここは・・・森の中?」
浩二が目覚めるとそこは見渡す限り木が生い茂っている森の中であった。周囲を見渡すがどう見ても日本では見たことないような植物があちらこちらに生えている。
「やっぱりあれは夢ではないんだよな。車とぶつかった時の痛みは覚えてるけど身体は異常なさそうだし傷もない。ってことはあの神様が言った通り俺は本当に異世界に転生してしまったのか。」
腕をブンブン振り回したり飛び跳ねたりするがすこぶる元気である。むしろ以前よりも体が軽い気がする。
「服装は営業帰りだから背広のまんまか・・・。そういえばラノベでこんな展開あった気がするけど、えーっ、なんていうんだっけ。あ、そうだそうだ。ステータスオープン」
浩二がそう言うとポワンという音が頭で響いた。
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コウジ ナカタ 23歳 男 レベル 1
職業:警備員
体力:200
魔力:200
筋力:100
敏捷:80
耐久:150
知力:100
スキル
【鑑定LvMAX】【アイテムボックスLvMAX】【警備用品作成Lv1】【非殺傷攻撃】【言語理解】
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「基準がとのくらいかわからないからなんとも言えないが筋力や耐久が高いのは普段鍛えてるからかな?」
浩二は一応営業という役職ではあるが、たまに現場にも出ているため体を鍛えるための筋トレが日課であったのだ。
「って職業が警備員ってこれ前の世界のまんまかい。こっちの世界では・・・絶対ないだろこの職業。しかもスキルも警備用品作成ってなんやねん。ちょっと詳細詳細っと。」
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【鑑定LvMAX】 この世に存在する全てのものを理解することができる。なお、鑑定Lv4以下の鑑定に対し偽のステータスを表示することが可能。
【アイテムボックスLvMAX】 手で触れた、生きたモノ以外の独立しているものを大きさに関わらず無限に収納できる。なおアイテムボックス内の時間は固定。
【警備用品作成Lv1】 小物系の警備用品を魔力を消費することで瞬時に作成することができる。
【非殺傷攻撃】 攻撃を与えると体力ではなく魔力を削る。オンとオフを切り替えることができる。
【言語理解】 全ての世界の言語を話す・読む・書くことができる。
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「なるほど。鑑定とアイテムボックスが最初からMAXなのはすごい助かるなぁ。Lv4以下に対してってことはLv5がMAXってことなのか。後は警備用品作成ってネーミングセンスが・・・。魔力を消費して作成か。Lv1だと小物限定っぽいけどちょっと試しにやってみるか。」
頭の中で普通の3段式の警戒棒を想像して
「ふんっ」
気合いを入れると、手のひらに折りたたまれた警戒棒が突如として現れた。思い切り振って伸ばして手のひらで叩いてみた。
「すげぇ。これ本物じゃん。硬さも本物だししっくりくるなぁ。」
ステータスを確認したところ
魔力:195
「警戒棒1本で魔力5消費か。」
トントンと肩を叩いているとふと浩二の頭にイナズマが走る。
「ということはもしかしてだけど、あの警戒棒も出せるのか・・・?やってみるか。ふんっ。」
すると、ズシッと。かなり重い警戒棒が出てきた。これは今の日本の法律では禁止されている警戒棒である。
「で、でちゃったよ。米国ピースキーパー社の29インチポリスバトン。これ前から欲しかったんだけど日本の法律じゃ使えなかったから買えすらしなかったんだよなぁ。」
前世で欲しくても手に入れることのできなかった警戒棒を手に入れ、まるで子供のようにはしゃいでいた。すると突然
「キャー!助けてー!誰かー!」
悲鳴が茂みの200m程先の方から聞こえた。
「悲鳴?何かあったのかな。ちょっと行ってみるか。」
ここは異世界である。前の世界とは違って何が起こるかわからない世界であることを思い出し、気を引き締めて現場に急行した。
ポリスバトン 29インチ
米国ピースキーパー社の警戒棒で長さが折り畳んだ状態で約28.5センチ、伸ばすと最大で約73.5センチ、重さが約820グラムである。鉄製のおよほ3倍の硬度を誇り、かなり硬いものを叩いても曲がりすらしないほどの警戒棒である。相手が通常の警戒棒なら叩き折ることも可能。
日本の法律では、長さ30センチから90センチ以下で、重さが長さによっても変わるが、最低でも160グラム、最高でも460グラム以下でないといけないため、ポリスバトン29インチは820グラムなためゆうに超えている。