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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について

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◆99◆

「こうしてマントノン家の大会で優勝出来たのは非常に嬉しい事ですが、去年のレングストン家の大会の雪辱云々は関係ありません。勝敗そのものより、他流派の強い相手と剣を交えて得られる貴重な経験こそ、今大会に出場した事の最大の収穫でした」


 記者団に囲まれて姿が見えなくなってしまったちっちゃなエーレは、驕る事なく謙虚な態度でインタビューに応じている。


 「どうせ後で、セリフをツンデレっぽく改変捏造されるに決まってるんでしょうけれど」、と内心では半ば諦めていたのだが。


 インタビューから解放されると、今度は共に大会に参加していたレングストン家の道場生達から、次々とタックル、もとい熱い抱擁を受け続け、その手の女の子同士の絡みに異様な興奮を覚える一部の観客層を喜ばせた。


「本当に、ありがとう、エーレ」


 中でも、昨年のレングストン家の大会の決勝でシェルシェに敗れたティーフなどは、エーレにがっしと抱き付いて号泣してしまい、


「別に、あなたの為にやったんじゃないわ、ティーフ」


 というベタなツンデレのテンプレな言葉を引き出す事に成功し、その様子をカメラに収めていた記者団からは、


「『ツンデレ』、頂きました!」


 と失礼な声も上がる。


 もう、勝手にしてくれ、といった感じにエーレはため息をつき、ティーフを宥めながら、ふと、離れた場所で記者団からインタビューを受けているシェルシェの方に目をやった。


 自家の大会で他家の参加者に優勝を許すという不名誉にも拘わらず、シェルシェはいつもの様に落ち着いた余裕のある調子で、


「レングストン家のレベルの高さを、エーレは見事に実証してくれました」


 などと、好敵手を褒め称えている。


「今回、主催者側になって、大会に参加出来なくなってしまった訳ですが、試合をご覧になっていて、いかがでしたか?」


 との質問に対し、


「ふふふ、主催者席から飛び出して、自分も剣を取って戦いたい、という衝動を抑えるのに必死でした」


 と冗談めかして、記者団を笑わせていたが、


「あれは、紛れもない本心ね」


 後でそれを聞いたエーレは、当主として諸事ままならぬ身となったシェルシェの胸中を思い、同情した。


 それに比べれば、ツンデーレ呼ばわりされる事など何でもない。

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