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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について

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98/636

◆98◆

 レングストン家対ララメンテ家の令嬢対決の準決勝戦に続き、昨年マントノン家に敗れたレングストン家の令嬢が雪辱を果たせるかどうかが懸かった決勝戦という流れで、会場内の盛り上がりは最高潮に達していた。


 マントノン家の最後の砦は、優勝候補の一人で、名門の令嬢の様に華のある外見ではないが、冷静な判断力と激しい攻撃力を併せ持ち、総合的に安定感のある中学三年生、ヴィテス・オトゥール。


 レングストン家からの刺客は、ちっちゃくて金髪ツインテールという絵に描いた様なツンデレ美少女にして、マイナーな二刀流ながらもここまでの試合では圧倒的な強さを見せた、中学一年生のお嬢様、エーレ・レングストン。


 内部と外部、庶民と令嬢、大人と子供、一刀と二刀、力と技、などのコントラストがはっきりした一戦でもあり、


「肝心のシェルシェがいないのに、最後の最後でよくここまで盛り上がる要素が揃ったねー。ある意味マントノン家は強運だよ」


 と、準決勝で敗退したコルティナも、ショービジネスの見地から妙な感心の仕方をしていた。


 いよいよ試合が始まり、中段にぴたりと構えて動かないヴィテスと、右の長剣を振りかぶりつつ、前に突き出した左の短剣を小刻みに動かして狙いを定めるエーレが、間合いを取ってしばし睨みあう。


 最初に仕掛けたのはヴィテスで、右へ左へ軽やかに動きつつ、縦横斜めに矢継ぎ早に剣を繰り出したが、エーレは二本の剣を全て防御に回してこれを阻止、鍔迫り合いとなって膠着した後、互いに飛び退く様に離れ、その際に頭部を狙って振り上げたヴィテスの右腕を、エーレは素早く右の長剣で打ち、一本先制する。


 湧き上がる歓声の中、両者初期位置に戻って試合再開。もう後がないヴィテスだが、動揺した様子はなく、中段の構えを崩さず落ち着き払ったまま、エーレと対峙する。


 エーレは二回ほど右足を前に勢いよく踏み出してフェイントを掛け、ヴィテスの隙を誘おうと試みるが、ヴィテスは全く挑発に乗って来ない。


 エーレがフェイント抜きで本当に突っ込んで来たその瞬間を狙い澄ました様に、その頭上を狙って剣を打ち込むヴィテスだったが、エーレの頭上でほぼ水平に回転した右の長剣にタイミングを合わされて防がれ、同時に左の短剣を右胴に打ち込まれてしまう。


 この一本により試合は終了し、ついにエーレの優勝が確定した。


 観客席は大いにどよめき、割れんばかりの拍手が巻き起こる。


「よくやったぞ、エーレ!」

「去年の雪辱を果たしたな、ツンデレー!」

「感動したぞ、ツンデーレ!」


「誰がツンデーレだっ!」


 と、言い返したいのをこらえつつ、粛々と初期位置に戻り、ヴィテスと互いに礼を済ませるエーレだった。

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