表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
97/632

◆97◆

 剣術の名門のご令嬢と言えど、まだ中学一年生。マントノン家の二、三年生と当たれば、大会中盤までには敗退もやむを得ないだろう。


 そんな大方の予想を覆し、レングストン家のエーレとララメンテ家のコルティナは、去年自分達の大会がシェルシェに蹂躙されたお返しとばかりに、立ちふさがるマントノン家の精鋭達を次々となぎ倒し、気が付けば早や準決勝でのご対面である。


 マントノン家制圧に王手を掛けるのは、果たしてどちらの令嬢か。


 大観衆が固唾を呑んで見守る中、エーレとコルティナの試合が始まった。


 右手の長剣を頭上高く振りかぶり、左手の短剣を前方に突き出して構える二刀流のエーレと、直立不動で中段に構え、相手の出方を窺うコルティナが、前者はきびきびと、後者はふわふわと、対照的なスタイルで対峙する。


 昨年に比べてさらに二刀の扱いが複雑かつ巧妙になったエーレの攻撃を、昨年と全く変わらず緊張感がまるで感じられないくせに必要最小限のふわふわした動作で的確に防ぎまくるコルティナ。


 両者決定打がないまま三分間の攻防を終え、試合は延長にもつれ込む。


 試合再開直後から、間合いを取っての静かな睨み合いがしばらく続いた後、素早く飛び込んだエーレの振り下ろす長剣がコルティナの頭上にヒットし、コルティナも同時にエーレの頭上に剣を振り下ろして相打ちを狙ったものの、そちらは短剣でしっかり防がれてしまっていた。


 「一年前のシェルシェ対コルティナ戦の様に、果てしない長丁場に突入するのか」、という観衆の予想を裏切り、二家令嬢対決はこうしてあっけなく終了したのである。


「お見事だったよー。タイミングが絶妙過ぎて、対応しきれなかったー」


 試合を終えた後で、コルティナはエーレにふわふわと賛辞の言葉を告げた。


「あなたが相手だと、次は防がれてしまうでしょうけれどね。もうしっかり覚えたんでしょう?」


 勝ったものの、決して油断した様子は見せないエーレ。


 この食えない相手とは、まだレングストン家とララメンテ家の二大会で対戦する可能性があり、今回の試合で学習した事は、絶対に次回からフィードバックされるに決まっている。ある意味、一勝と引き替えに貴重な手の内を晒してしまった様なものだ。


「うふふ、エーレの成長記録がまた一ページ増えたのは確かだねー」


「我が子の成長を見守る親か、あんたは」


 ちっちゃいエーレは、今日も皆から温かく見守られつつ、すくすくと育ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ