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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について

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◆95◆

「そのリストに載っている造反者達には、面白い共通項があります。それは、『剣術は強いが、性格が最悪』、と周囲から酷評されている事です」


 歯に衣着せぬ現当主シェルシェの物言いが続く。


「犯罪組織と密接な繋がりがあり、自分を大物に見せかけたいのか、それを隠そうともせず自慢げに言いふらす。気に入らない道場生に難癖を付けて、殴る蹴るなどの暴力を日常的に振るう。妻子のある身で、若い女の道場生に指導者の立場を悪用してセクハラする、しつこく言い寄る、挙句断られてストーカーと化す。経費をごまかして道場の運営資金の一部を着服する、等々、調査すればする程、なぜこの人達が世間で持て囃されているのか、と理解に苦しむ様な事例が次から次へと出て来ます」


「それが事実で証拠もあるのならば、どんなに人気がある稼ぎ頭だろうと遠慮はいらん。そんな不埒な輩共は即刻破門して追い出すがいい。マントノン家は商人である前に、誇り高き武芸の名門なのだ」


 前々当主の祖父クぺが嶮しい表情になって言う。


「普通ならすぐにでも追い出す所ですが、今回はこの者達が揃って『マントノン家を出て行きたい』と希望しているのです。こちらは『追い出したい』、向こうは『出て行きたい』、願ったり叶ったりとはこの事ではありませんか」


 シェルシェは妖しく微笑んで、


「それに、彼らがこちらに所属している間に処分すれば、それは身内の不祥事と世間で認識され、マントノン家のイメージダウンとなりますが、彼らがマントノン家と縁を切って出て行った後、しばらく経ってから勝手に自滅してくれれば、こちらへのダメージもほとんどありません」


「しかし、そう簡単に自滅するかな? 何と言っても彼らは人気のある剣士達だ」


「剣術の名門マントノン家の看板の下で、武芸ブームの勢いに乗って培った人気が、その二つの後盾を失った時、果たして無傷でいられるか、私は甚だ疑問です。五年も持てばいい方ではないかと思っています」


「もし五年経っても自滅せず、規模を拡大して、マントノン家の地位を脅かす存在となったら?」


「ほぼあり得ません。彼らは商売としての武芸の大局を根本的に見誤っていますから。それに」


 シェルシェはにっこりと笑い、


「潰れなければ、潰すまでです」


 と淡々と言ってのけ、おじいちゃまを、また怖がらせるのだった。

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