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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第六章◆◆ 殺人鬼改め女当主と巨大怪獣の出現について
89/632

◆89◆

 そして迎えたマントノン家の剣術全国大会小学生女子の部において、ミノン・マントノンは初出場で見事優勝を果たす。


 小学生とは思えない大人の様な体格から生み出される圧倒的なパワーと、叔父と姉に鍛えられたテクニックとが融合したその戦い振りの前に、為す術もなく蹴散らされた大会出場者達は、


「まるで巨大怪獣を相手にしてるみたい」


 と、あまり女の子にとってありがたくない称号を、ミノンに与えるまでに至る。


「お姉さんと違って、すごく明るくのびのびと戦ってたねー、ミノンは」


 満員御礼の観客席から防護マスクの下のミノンの表情を観察していた、ララメンテ家のふわふわ令嬢ことコルティナが、双眼鏡を目から離して言う。


 それが合図であるかの様に、その周囲にいた数人のララメンテ家門下の小学生達も、一斉に双眼鏡を目から離す。


 今大会、ララメンテ家からも何人か中堅どころが出場していたものの、優勝候補を含む主力部隊は参加を見送り、中学生のコルティナの指導の下、こうして試合の見学に徹していたのである。


「表情はシェルシェよりずっと読み易いから、付けいる隙はありそう。相手の体の大きさに惑わされなければ、シェルシェ程怖くないと思うよ」


 ふわふわした口調で独自の分析を披露するコルティナの一言一句に、小学生達は真剣に耳を傾ける。何しろこのお嬢様と来たら、前回のララメンテ家の大会準優勝という実績があるのだ。これでも。


「ミノンに対抗するには、シェルシェとはまた別のメンタルトレーニングが必要だねー」


「ホラー映画じゃダメですか」


 小学生の一人がコルティナに尋ねる。事情を知らない人がこのやりとりを聞いたら、「一体何の話だ?」、と訝しがる事だろう。


「うん、ミノンの場合、ホラー映画よりも怪獣映画だね」


 事情を知らない人が聞いたら、ますます混乱する様な事を、コルティナがふわふわと答える。

 

 そんな訳でララメンテ家の道場では、ミノン対策として、いつものホラー映画に代わって期間限定で、怪獣映画鑑賞会が開かれる事になるのだった。


 もちろん、ちゃんとした猛稽古もしている。念の為。

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