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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第四章◆◆ 不死身で無敵な殺人鬼となった娘について †ララメンテ家の惨劇†
66/632

◆66◆

 あわや決勝戦の第三ラウンドに突入するかという危惧をよそに、シェルシェとコルティナは親しげに会話を交わし始めたので、ほっとするララメンテ家の道場生達。


 そんな周囲の心配などおかまいなく、ふわふわとした口調でシェルシェとの話を続けるコルティナ。

 

「これから私達、近所の人気スイーツ店で残念会やる予定なんだけど、シェルシェも来ない?」


「ふふふ、残念会に優勝者を招いて何をする気です?」


「そう言えばそうだねー。被害者家族の会に、殺人鬼を招待する様なものかしら」


「ちょっと不謹慎な例えですね。それといい加減、殺人鬼から離れてください」


「残念会と言っても、スイーツ食べて今日の大会の感想をあれこれ言い合う、気楽なお茶会みたいなものだよ。あ、でも、シェルシェが奢ってくれるって言うなら、喜んで優勝祝賀会に名義を変更するけど」


「ふふふ、あなたには敵いませんね、コルティナ。それも面白そうですけれど、私はこの後、ささやかな祝賀会に参加する予定なので、そちらの名義はそのままにしておいてください」


「残念。負けた悔しさを、高いモノを奢らせて晴らそうかな、と思ったのに」


「それは晴らさないで、次回の試合の機会までとっておいてください。さらに一層強くなった皆さんと戦える日を、今から心待ちにしています」


 そう言って微笑むシェルシェの目は、少し怪しく輝いていた。


 やっぱり根はホラー映画に出てくる不死身で無敵の殺人鬼だわ、このお嬢様。


 そう思っても、もちろん道場生達はコルティナと違い、面と向かって口に出さないだけの常識を持ち合わせている。


 しばらくして一同が会場を出ると、正面玄関の前でさらにもう一人別のお嬢様が待ち構えていた。


 金髪ツインテールのちっちゃい女の子こと、エーレ・レングストンである。


「三冠制覇おめでとう、シェルシェ。いい試合だったわ」


「ありがとう、エーレ。あなたとも戦いたかったのだけれど」


 声を掛けられたシェルシェが、微笑んで応じる。


「今回は第三者としてじっくり見学させてもらう事にしたの。そこから得た研究成果は、次回のマントノン家の大会で活かすつもり」


「期待して待っていますよ。来年の大会にはコルティナも参加する予定ですから、いよいよ三家の令嬢揃い踏みが実現しますね。一大会で実質三冠制覇となる訳です」


「実質だけじゃ物足りないわ。来年はマントノン家だけでなく、ウチとララメンテ家の大会も制覇して、名実共に三冠を頂くわよ」


「ふふふ、それはこちらのセリフです」


 一見穏やかなやり取りの裏に、激しい火花を散らすエーレとシェルシェ。


「ねーねー、エーレもこれからウチの残念会に来ない? 美味しいスイーツ屋さんで、楽しいお茶会をする予定なんだけど」


 そこへ、空気を読まないコルティナが、ふわふわと割って入る。


 ウチのお嬢様ったら、本当にもう。


 ララメンテ家の道場生達は呆れるのを通り越して、つい笑ってしまった。

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