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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第二十章◆◆ 華やかな時代の終焉と新たな宣伝材料の模索について
634/636

◆634◆

「シェルシェにこってり絞られたらしいな。また何か怒らせるような事をしたのか?」


 ほとんど水分がなくなるまでギュッと絞り尽くされた雑巾よろしくカラカラになったパティを、夜の特訓に付き合わせるべく屋敷の敷地内にある稽古場に呼び出し、笑って問うミノン。


「ヴォルフの愛らしさについて解釈が一致しなかった。それだけよ」


 カラカラになってもなお、まだ煩悩が抜けきらないパティ。


「何だそりゃ?」


「シェルシェお姉様と来たら、ヴォルフを独り占めするだけでは飽き足らず、ヴォルフの人生そのものまで私物化しようとしているのよ」


「ああ、何となくわかった。ヴォルフの育て方にいちゃもんつけたら、倍返しで報復されたって所か」


「ヴォルフは私達が引退した後のエディリア剣術界を盛り上げる唯一無二のアイドルに推すべきよ。あんなに可愛いんだもの」


「どうかな。私はヴォルフには余計な事を考えずに剣術に励んで欲しいが」


「武芸だけで道場経営は成り立たない、って事を私達は身を以て知ってるでしょう? 必要なのは宣伝よ」


「まー、確かにそうだが。だからって、幼いヴォルフに宣伝活動を押し付けるのも酷な話だろうに」


「押し付けるんじゃなくて、あるがままを公開するのよ! 可愛いものを可愛いまま世間にお届けするだけ! 日々成長して行くあの子の可愛い盛りを現在進行形で発信するの!」


「お前は子猫の成長記録で再生数を稼ぐ動画配信者か」


 呆れるミノン。


「私はヴォルフの可愛らしさが世に認知されればそれでいいの!」


「道場経営の話はどこへ行った」


「美少女剣士の次は美少年剣士ブームよ! ヴォルフはエーレに勝るとも劣らぬ国民的マスコットになれるわ!」


「妄想はその辺にしておけ。剣士が『可愛い』だけじゃやっていけないって事も、よく分かってるだろう。まず第一に『強い』事が肝心だ。少なくとも、大会で上位に食い込み続けるだけの地力は欲しい」


「いっそ、最初から剣術でなく芸能活動一本に専念させる方がいいかも」


「シェルシェが聞いたら、『マントノン家の危険思想家』として粛清されるぞ、お前」


 元々おかしかったのがさらにおかしくなってしまった妹の行く末を案ずる脳筋姉。

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