表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十九章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅢ 「採算」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

612/638

◆612◆

 ここで最後の試合を終えて確定したエーレ対コルティナの全戦績を振り返ってみる。


 エディリア剣術御三家の全国大会において、エーレとコルティナの直接対決は全部で十八試合あり、その内訳はエーレの十勝八敗。優勝回数ではエーレが十二回、コルティナが八回と、どちらもエーレが勝っている。


 ただし、ララメンテ家の大会だけに限ると直接対決は全部で八試合、内訳はエーレの一勝七敗で、優勝回数でもエーレが一回、コルティナが七回と勝敗は大きく引っ繰り返り、完膚無きまでにコルティナの圧勝なのである。


 そんな事情もあってか、決勝戦を終えて互いの健闘を称えるべく、防護マスクを外して試合場の中央でコルティナと抱き合ったエーレは、


「あー! 最後はここであなたにもう一度勝って優勝したかったあー!」


 全力でやりきった後の清々しい笑顔とは裏腹に、遠慮のない本音をぶちまけていた。


「うふふ、エーレが優勝しても不思議じゃなかったよー。こっちも最後の一手は本当に賭けだったからー」


 ぐずる子供を軽くあしらうお母さんといった感じのふわふわな笑顔で、これに応えるコルティナ。


「この際、引退するのやめて来年も出場しようかしら」


「だめだよー、エーヴィヒさんを中途半端に待たせたままで全力が出せるエーレじゃないものー。図書館で借りた本も期限内に返さないと気が済まないタイプでしょー?」


「いや、それは期限内にちゃんと返しなさいよ!」


「そんな不完全なエーレと戦っても面白くないよー、って言うよりー」


 コルティナはエーレの頭をわしゃわしゃと撫でながら、


「私達が大会で戦う時代はもう終わったんだよー」


 ちっちゃい子供に言い聞かせる様に優しく告げた。


「私『達』?」


「うん、やっぱり、私も今年で引退する事にしたよー。一般の部は色々あり過ぎるからねー」


「そう……」


 半ば予期していた事とはいえ、少し寂しげな表情になるエーレ。


「これからは裏方に回って好き勝手にやるつもりー」


「それはほどほどにしときなさい!」


 表情から寂しげが吹っ飛び、今以上にコルティナに振り回されるララメンテ家の行く末を案じて釘を刺すエーレ。


「うふふ、とりあえず今は優勝インタビューを頑張って来るねー。『劇場版エーレマークⅡ』の裏話と『小型軽量戦機エレガイル』の見所をたっぷりと語るからー」


「いや、剣術の試合の話をしなさいよ! 自分の所の大会を何だと思ってるの!」


「お祭り騒ぎー! 特に今年は最高のお祭り騒ぎだったねー! 『劇場版エーレマークⅡ』の大ヒットのおかげだよー!」


「ま、まあ、確かにそうだけど……何か複雑な気分だわ」 


「私達の最後の晴れ舞台をこんなに盛り上げてくれた映画に恩返ししなくちゃー!」


「何か騙されている様な気が」


「それにお客さんだって、私に真面目な話なんて求めてないよー」


「威張って言うことじゃないでしょ! いいの? それで?」


「私の漫談を聞いてドッカンドッカン笑った人達が何年か後に、『ああ、あれがエーレとコルティナの最後の大会だったんだなあ』って、しみじみ思い出してくれるのって素敵じゃなーい?」


「私達の最後の晴れ舞台を変な思い出とセットにしないで!」


 立場が逆転し、ちっちゃいお母さんが大きな子供に説教する構図となるエーレとコルティナ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ