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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十九章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅢ 「採算」
606/631

◆606◆

 ララメンテ家の全国大会の小学生の部を観戦した、もしくは観戦せずに物販で「劇場版エーレマークⅡ」関連グッズを買い漁って帰った人々の、


「とにかく今年のララメンテ家は屋台がすごい」


 という剣術とは一ミリも関係ない口コミが広まり、続く中学生の部では会場内より屋外の方が賑わうドーナツ化現象が進行する。


 ドーナツ化と言っても完全に中空ではなく、外のお祭りムードに引っ張られる形で会場内もそれなりに盛り上がり、最後にララメンテ家の選手が優勝した際には、屋外の喧騒に負けず劣らずの盛大な拍手と歓声が巻き起こったが、


「多分ほとんどの人が、どこの選手が勝ったかなんて全然気にしてないな」

「いや、それ以前にこれが何の大会なのかすら気にしてないと思う」

「盛り上がれれば何でもいい、って感じか」


 ララメンテ家の応援団は、観客の意識自体がドーナツ化していることに少し戸惑い気味。ただし、


「元々お祭りってそんなものだよー。そのお祭りが何を祭っているのか、正確に知ってる方が少ないってー」


 などとのたまいつつ、トンガリ帽子の魔女コスプレ姿で本物の巨大なドーナツを食べているふわふわな笑顔の約一名は除く。


 ちなみに、その約一名ことコルティナが今回用意して掲げさせた横断幕には、「初めて乗ったその日から、ロボに目覚める第一話」という、ミーハーな観客以上にこれが何の大会なのかを気にしていないフリーダムな文が書かれていた。


 しかし、その次の高校生の部ともなると、マントノン家のミノンとパティというスター姉妹の登場により、このドーナツ化現象も改善され、観客の意識も外の祭りの屋台からこの姉妹対決の行方に集中する。


「昨日までが穴の開いたドーナツなら、今日は具がたっぷりのピロシキって感じだねー」


 その言葉通り、巨大なピロシキを食べながらララメンテ家の選手を応援するコルティナ。


「言いたい事は分かるけど、例えが分かりにくい」

「ってか、そんな巨大な揚げ物が続いて胃がもたれない?」

「まあ、美味しいけどさ。コレ」


 同じく普通サイズのピロシキを食べながら応援するララメンテ家の仲間達。


「大丈夫、明日はもっと軽いお菓子にするからー」


「いや、明日はお前も試合に出るんだよ!」

「観客席でのんきに巨大菓子食ってる場合か!」

「軽いのはあんたの頭の中身だけにしとけ!」


「うふふ、軽い冗談だよー」


 ふわふわと笑いながら、


「今年のお祭りは特別なんだから、しっかり参加しないとねー。エーレのためにもー」


 軽い冗談の中に、これがエーレにとって最後の大会になるという重い含みをしれっと持たせるコルティナ。


 もっとも、そんな裏事情を知らない仲間達にとっては、絶賛開催中の「劇場版エーレマークⅡ」コラボ祭りへの言及としか思えなかったであろうが。

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