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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十九章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅢ 「採算」
605/631

◆605◆

 これまでの二大会同様、ララメンテ家の物販でも「劇場版エーレマークⅡ」とのコラボ商品が、えげつないレベルで大量に投入されていたのは言うまでもない。


 特にララメンテ家と縁が深いアトレビド社はコラボパッケージ仕様の既製品の他、会場周辺に屋台を多数設置し、エーレマークⅡのイラストが描かれた袋に詰められたわたあめ、エーレマークⅡの焼き印入りの大判焼き、エーレマークⅡの形をした飴細工などをその場で作って売り、


「この手の屋台があると、田舎の祭りを思い出す」

「試合を観なくても、会場の回りをぶらつくだけで楽しいな」

「こういう所で売ってる菓子は、味とかじゃなく雰囲気だ、雰囲気」


 来場客をお祭りムードで釣る作戦に打って出て、記録的な売上げを叩き出していた。

 

「本来、大会は道場にとって年に一度のお祭りみたいなものだからねー。この位派手にやってもいいんだよー」


 アトレビド社を唆してこのお祭りムード作戦を実行させた黒幕ことコルティナに対し、


「いや、色々とやり過ぎだろ」

「物販専用にもう一つ会場を用意したレングストン家でも、ここまで派手にやらなかった」

「そもそも、よその家のキャラクターで荒稼ぎしている事自体おかしい」


 無論、小学生の部を応援中の仲間達からはツッコミが入る。


「でも、流派の壁を越えたお祭りって素敵じゃないー?」


 特注の巨大大判焼きを食べながら、もっともらしい事をほざく魔女コスプレ姿のコルティナ。


「物は言いようだな、おい」

「壁を越えられ過ぎて、ウチのアイデンティティーが崩壊してるんだけど」

「むしろ、レングストン家に乗っ取られた感すらある」


「逆に考えるんだよー。乗っ取られたと見せかけて、実は乗っ取ってると思えばー」


「どう考えても占領下だろ、こんな状況」

「観客席の到るところに、エーレマークⅡの旗が翻ってるし」

「なんか陥落直後の都市みたい」


「なら、かわいい後輩達に奪還してもらうしかないねー。じゃ、そろそろ応援用の横断幕、いくよー!」


 ノリノリなコルティナの指示によって渋々広げられた横断幕には、「はじめてのおつかい:巨大ロボに乗って最前線に投入される小学生姉妹編」と書かれており、観客席のあちこちからどっと笑い声が起こった。


「一体どんな番組だよ!」

「おつかいのハードルが高過ぎる」

「頼むから、バスか電車でもっと平和な所に行かせてあげて」


 そんな仲間達からのツッコミにふわふわと微笑んで、


「常識を飛び越えた所にある自由度の高い発想こそ、ララメンテ家の剣術の極意なりー」


 一理あるのかないのかよくわからない極意を説くコルティナ。


 もう何言っても無駄だこいつ、と仲間達が呆れる中、小学生の部はララメンテ家の選手が優勝して無事に面目を保った。


 かわいい後輩の快挙を喜びつつも、どこか釈然としない仲間達。

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