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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十九章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅢ 「採算」

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◆604◆

 エディリア全土を渦巻く「劇場版エーレマークⅡ」ブームと総力を挙げてコラボしたレングストン家の全国大会が、エーレの優勝という最高の形で大盛況の裡に閉幕するや、人々の関心は早くも次のララメンテ家の全国大会へ向けられる。


 ただし、そこで一番話題になっていたのは、


「コルティナの等身大フィギュアは、一体どんなモノになるのか?」


 という剣術とはまったく関係ない案件であり、この年の大会の本末転倒ぶりをよく表していた。


 既にシェルシェとエーレをモデルにした等身大フィギュアが展示された流れから言って、コルティナの等身大フィギュアは絶対に用意されているはずであるが、映画内では本人をモデルにしたキャラが登場していないという矛盾があり、この問題を解決すべく、


「最初の案だとコルティナは風船配りのお姉さんだったから、それだろう」

「いやいや、案外いつもの魔女コスプレで来るんじゃね?」

「意表を突いて、悪の組織の戦闘員だったりして」


 などと様々な憶測が巡らされ、人々はその真実が明らかになる日を指折り数えて待ち望む。


 そして迎えた大会初日、答え合わせとばかりに会場を訪れた人々は、物置サイズの巨大キャリーバッグの中、メガホンとカチンコを持ってディレクターズチェアに座り、鳥打帽にサングラスに革ジャンにジーンズというラフないでたちの、コルティナ等身大フィギュアを目の当たりにして、


「登場人物じゃなくて、映画監督で来たか! しかもかなりステレオタイプなやつ!」

「これ、実写映画を撮影する時の格好だろ。何でアニメ映画の製作でメガホンとカチンコが要るんだよ!」

「そもそも、『劇場版エーレマークⅡ』の監督はコルティナじゃなくてランゲだし! あ、よく見るとカチンコに『ランゲ監督の許可は取ってあります』って書いてある。芸が細かい」


 その奇抜な発想に感心しつつも、思い思いにツッコミを入れざるを得なかった。


 もちろん、この巨大キャリーバッグの中のコルティナ監督とも一緒に記念撮影出来る様になっており、先の二大会同様、人気スポットとして好評を博す事となる。


 しかし後に、これを企画したコルティナ本人はちょっと残念そうな様子で、


「本当は意表を突いて、私じゃなくランゲ監督の等身大フィギュアを出したかったんだけどー、関係者一同と監督本人から『それだけはやめてください』ってお願いされちゃってさー」


 と裏事情を語り、それを聞いたララメンテ家の仲間達は、


「意表突き過ぎだろ!」

「ウチの大会はオチ要員か!」

「中年のオッサンの等身大フィギュアを作らされる人の気持ちになってみろよ!」


 そこはかとなくランゲ監督に失礼な感じのツッコミを入れまくっていた。

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