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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十九章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅢ 「採算」

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602/638

◆602◆

 続いて開催されたレングストン家の全国大会は、マントノン家以上になりふり構わぬ、「劇場版エーレマークⅡ」とのコラボ色が増強されたお祭り騒ぎとなっていた。


 特に物販は本家本元の権利をフルに行使し、誰に遠慮することなく品揃えを充実させまくった結果、大会会場内だけで扱いきれない物量にまで膨れ上がり、近くのイベントホールを借りて第二物販コーナーを設ける始末である。


 物販を外部に拡張した事で余裕が出来た大会会場の一画には、エーレマークⅡの実物大コックピットが再現され、来場客が実際に操縦席に座って、その傍らに立つパイロットスーツ姿のエーレ等身大フィギュアと一緒に記念撮影が出来る様になっており、今大会一番の人気スポットとして好評を博していた。


 他にも「劇場版エーレマークⅡ」及びその続編となる鋭意製作中のテレビアニメ「小型軽量戦機エレガイル」関連の映像や設定資料等が公開され、


「正直、試合よりも物販とコックピットと新作アニメの情報目当てで来た」

「実質、『劇場版エーレマークⅡ』展だろ、これ」

「ミノンとパティが出場する高校生の部と、エーレとコルティナが出場する一般の部はすごく混むだろうから、今が狙い目だ」


 特に見所がない小・中学生の部は、マントノン家の大会の時と同様に、「剣術に興味はないけど、お祭り騒ぎは楽しみたい」、という非常にやりづらい観客で一杯になる。


 が、出場選手達も二度目ともなると少し慣れたのか、


「たとえ『劇場版エーレマークⅡ』展に来たついでだろうと、高いチケット代払って試合を観ていってくれるだけでありがたいよね」


 と割り切り、さほど委縮せずに済んだ模様である。


 ある意味、オマケの方がメインの駄菓子扱いな小・中学生の部だったが、どちらもレングストン家の選手が優勝して無事に終わり、いよいよ高校生の部が始まると観客の雰囲気もガラリと変わり、


「グッズ購入も、記念撮影も、展示の巡回も、もう既に済ませた!」 

「だから、今日は心置きなく試合観戦に集中するぞ!」

「でも試合が終わったら、また一通り見て回るつもりだけど!」


 やたら気合いの入った「巨大怪獣」ミノンと「大道芸人」パティが描かれた自作の応援旗があちこちに翻り、さながら合戦の様相すら帯びて来る。多少、お祭り騒ぎにも心を惹かれている感は否めないが。


 肝心の大会の方は、ミノンが準決勝でレングストン家の高校二年生の無名選手ドゥーシェ・バレットに敗れるという大番狂わせもあったが、そのドゥーシェを決勝でパティが破って優勝を決め、大いに盛り上がった所で幕となる。


 決勝戦の直後、パティとドゥーシェが互いの健闘を称えて抱き合う光景に、観客は惜しみない拍手を送ったが、レングストン家の応援団の中から、


「ドゥーシェ、逃げて、逃げてー!」


 ちっちゃなエーレが、ホラー映画のクライマックスでモンスターに捕まったヒロインにハラハラする子供の様に声を張り上げていた。


 今年が最後の大会出場となり寂しくもあるエーレだったが、あのセクハラモンスターと一般の部で試合後に抱き合わされる機会が永久に失われたことだけは大きな救いであろう。

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