表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第四章◆◆ 不死身で無敵な殺人鬼となった娘について †ララメンテ家の惨劇†

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/636

◆58◆

 試合開始直後、剣を中段に構えて静かに相手の様子を窺うシェルシェと、同じく剣を中段に構えてはいるものの、どこか緊張感がないコルティナが、間合いを取って対峙する。


 まずシェルシェの方から不意に飛び込んで、目にも止まらぬ素早い一撃で頭部を狙ったが、コルティナはこれを予期していたかの様に、剣を横に持ち上げて難なくブロック。


 シェルシェは、さらにそこから他の部位を狙って、二撃、三撃、四撃と一息の内に繰り出すも、コルティナは調子の悪い車のワイパーの様に剣を左右に緩く振って、それら全てを防ぎ切る。


 そのまま鍔迫り合いにもつれ込んだ後、両者はお互いにゆっくりと離れ、間合いを取って再び対峙。


 それからしばらくの間、シェルシェが突然仕掛け、コルティナがそれをふわふわと阻止する展開が数回繰り返された。


 「勢いに乗って、このままシェルシェがあっさり優勝してしまうだろう」、と予想していた多くの観衆は、ここでようやく違和感に気付き、「何でコルティナには全く攻撃が通じないんだろう」、と首をかしげ始める。


「コルティナは、シェルシェが攻撃に転じるタイミングを、完全に読んでいるのよ」


 双眼鏡で試合に見入っていたエーレが、そのままの姿勢で、周りの道場生達に解説する。


 先の大会決勝でシェルシェに敗れたティーフは、


「信じられない。シェルシェさんの動きは、そう易々と読み切れる様なものじゃない」


 と、自身の経験から反論した。


「表情の微かな変化を研究したのよ。この前の大会では、試合中のシェルシェの顔を、ずっと観察してたらしいわ」


 その場にいたレングストン家の道場生一同は、エーレの言葉に軽く驚いたが、


「まるで、似顔絵描き屋さんみたいにね」


 付け加えた例えが妙に可愛らしかったので、ついほのぼのとしてしまうのだった。


 やっぱり、ウチのお嬢様は可愛いなぁ、と。


 でも、そんな可愛いエーレをいつかホラー映画鑑賞会に引き摺りこむつもりである事に変わりはない。


 正に外道。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ