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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第四章◆◆ 不死身で無敵な殺人鬼となった娘について †ララメンテ家の惨劇†
56/632

◆56◆

 順調に勝ち上がっている様に見えるが、試合が進むにつれて、綺麗に一本を決めにくくなって行くシェルシェを見ながら、


「最初は割とあっさり殺すけど、中盤以降は結構苦戦するよねー、ホラー映画の殺人鬼も」


 と、相変わらず失礼な発言が止まらないコルティナ。


 敗退した選手に対しても、


「おつかれー。いい試合だったよ。あの不死身で無敵な殺人鬼さんが、仕留めるまでにかなり手こずってたから」


 励まし方が、やや不謹慎である。


「シェルシェさんの事を、あまり殺人鬼呼ばわりしない方がいいんじゃないかな。試合前にも本人から直々に注意されてたし」


 見かねた選手が、そっと注意すると、


「そうねー。じゃあ、これからは、『不死身で無敵なシェルシェ』で」


「もっとひどくなってるよ!」


 コルティナのふわふわした返答に、呆れて思わず笑ってしまうララメンテ家側の選手達。


 そんなコルティナも、地味にふわふわと試合を勝ち上がっており、ついに決勝戦まで駒を進め、不死身で無敵なシェルシェと直接対決する運びとなった。


 シェルシェの三冠制覇まで残す所あと一試合、マントノン家とララメンテ家の令嬢対決という要素も加わって、会場は大いに盛り上がる。


 そんな活気づいた雰囲気の中で、コルティナは、


「うふふ、盛況盛況。不死身で無敵なはずのシェルシェが途中で敗退したら、その時点でお客さんの大半が帰っちゃうんじゃないかと、ちょっと心配だったけど」


「いや、私達がシェルシェさんに勝ったら、素直に喜んでよ」


 そのふわふわ振りを他の選手に突っ込まれていた。


「ごめん。でも、『シェルシェを倒した人は、高級ホテルの極上スイーツ食べ放題』の約束はちゃんと守るつもりだったから」


「コルティナ以外、全員負けた後に言われても」


「じゃあ、終わったら残念会やろー。会場の近くに人気スイーツ店があるから、皆でそこに行って」


「試合する前から、自分が負ける事前提で計画を立てないで」


 そうこうしている内に、いよいよ試合の時間となり、


「じゃあ行って来るねー。不死身で無敵なシェルシェは手強いけど、お客さんをドッカンドッカン盛り上げる様に頑張る」


「笑いを取ってどうする」


「うふふ」


「お願い、そこは『冗談だよ』と言って。不安になるから」


 このふわふわしたお嬢様は、どこまで本気なのか冗談なのか、時々分からなくなる。


 ある意味、不死身で無敵な殺人鬼よりタチが悪い。

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