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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十八章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅡ 「本編」
554/631

◆554◆

「大勢の敵を相手にたった一人で大立ち回り! これぞチャンバラ映画の醍醐味です!」


 ランゲ監督の言う通り、映画内では雲霞のごとく群がる大量の敵ロボットを物ともせず、ひたすら斬って斬って斬りまくる無敵モードなエーレマークⅡのバトルが続いていた。


 敵が振り下ろして来る剣を紙一重でかわすと同時に、相手の顔面に長剣で突きを入れる。


 鋭く繰り出される槍を一刀両断し、さらに相手の肩口から脇にかけて斜めに斬り落とす。


 豪快に斧を振り回す敵の腕を下から斬り上げ、勢い余って空中に舞い上がった斧が地面に落ちる前に、相手の胸へ長剣で深く斬り付ける。


 足を払いに来る薙刀に飛び乗ってそのまま素早く駆け上がり、相手の首を短剣で刎ね飛ばす。


 などと様々な戦闘シーンが次から次へと途切れる事なく展開し、あれよあれよと言う間に敵ロボットを半分程撃破した頃、


「緊急事態だ、エーレ!」


 突如、エーレマークⅡのコックピット内の正面モニターに、父ムートの顔が大アップで現れた。


「邪魔です! 前が見えません! ウィンドウのサイズを小さくしてください、お父様!」


 戦いながら父に抗議するエーレ。


「すまん、送信設定を誤った」


 すぐにウィンドウサイズが緊急地震警報レベルからバラエティー番組のワイプ並みに縮小され、


「本部道場に敵ロボットが一体向かっている! すぐに戻るんだ、エーレ!」


 モニターの片隅で小さくなった父ムートが改めて叫ぶ。


「今は取り込み中につき戻れません! 早急に道場にいる皆を避難させてください、お父様!」


「道場生の避難は既に完了している。本部道場にはもう誰も残ってない!」


「なら、問題ありません! 最悪、本部道場を壊されたとしても、建物は後で建て直せます!」


「いや、敵の狙いは本部道場でなく、その下にある地下格納庫だ!」


「あんな妙ちきりんな地下格納庫がなくなっても私は一向に構いません! いっそ封印したい位です!」


 思わず本音が漏れるエーレ。


「いや、問題はそこではない! 実はあの地下格納庫に、『エーレニウム粒子増幅装置』が置いてあったのだ!」


「何なんですか、それは!」


「一言で言うと、『エーレニウム粒子で動くロボットの性能を百倍にパワーアップする装置』だ!」


「それ、敵ロボットにも装備出来るんですか?」


「もちろん出来る! だから敵の手に渡ると非常にマズい!」


「マズいにも程があるわ!」


「カリカリ団が今回首都エディロで蜂起した真の目的は、エディリア政府の転覆ではない!」


 そこで言葉を切って、くわっと目を見開き、


「本部道場の地下からエーレマークⅡを地上におびき出し、その隙にエーレニウム粒子増幅装置を奪う事だったのだ!」


 無駄に声に力を入れて言い放つ父ムート。モニターの片隅の小さなワイプ内で。 


「だったら、その増幅装置とやらを最初からお父様が作らなければ良かったのでは?」


「そうかもしれん!」


「威張って言う事かあっ!」


 思わず声を荒げた後、ため息を一つついて、


「仕方ありません。百倍にパワーアップした相手を倒すのは容易では無さそうですが」


 残りの敵ロボットと戦いつつ、

 

「レングストン家の名に懸けて、どんな強敵であろうと最後まで戦い正義を貫きます!」


 親の不始末にケリを付けるべく、改めて決意を固めるエーレ。


「うむ、その意気だ、エーレ!」


 そんな娘を鼓舞するムート。


「だからちょっとは反省しろ、お父様!」


 そんな父の天然ボケにイラッとするエーレ。

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