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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十八章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅡ 「本編」

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◆551◆

 あくせく働く人間を塀の上から呑気に眺めている暇な猫よろしく一連の騒動を他人事のように眺めているカリカリ博士の独り言から、再び場面は移動中のエーレとエーレマークⅡとのやりとりに戻る。


「次はエディリア議会よ、マークⅡ! 多くの議員が人質になってるみたいだけど、議員なら国家の一大事に際して命を擲つ覚悟位あるはずよね!」


「そう、そして今が正に国家の一大事よ、エーレ!」


「つまり今、人質になっている議員には命を擲つ覚悟があるはず! 多少の犠牲は気にせず全力で戦いましょう!」


 この悪魔の様な三段論法によって議員達の尊い命がタイムセールで大安売りされかけたその時、敵ロボットの位置を示す地図に異変が起こった。 


「え、何これ。敵が一斉に移動を始めてる!」


 驚くエーレの言う通り、敵ロボットを表す大量の光点が、半額シールを貼られた商品に群がる主婦の如く、ある一点に向かって結集し始めたのである。


「どうやら敵は、エディロランドに兵力を集中して私達を迎え撃つつもりらしいわ! どうする、エーレ?」


 移動を一旦中止し、空中で待機するエーレマークⅡ。


「いっそ好都合よ! チマチマ戦うよりまとめて叩き潰した方が早くカタがつくもの! 議員は後回し! エディロランドへ向かって、マークⅡ!」


「了解!」


 こうしてエディリア議会がエーレマークⅡの攻撃目標から外された事により、議員達の尊い命は救われた。救われるまでもなくカリカリ団の突然の撤収により、議員達は解放されていたのだが。


 この間抜けなシーンについてランゲ監督は、


「映画を観た現実の議員の皆さんには、ぜひとも我々がこのシーンに込めたメッセージを感じ取って頂きたいものです!」


 と熱く語ったが、


「『国家の一大事に議員が何もしなくてもその内何とかなる』っていう後向きなメッセージしか伝わって来ないんですが」


 言葉には出さなかったものの、本物のエーレは内心釈然としなかった様子。

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