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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十七章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅠ 「宣伝」
536/631

◆536◆

 結論から言うと、その年のララメンテ家の大会の一般の部は「八代目ふわふわ魔女」ことコルティナが決勝でエーレを破って優勝し、無事幕を閉じた。


 この二人の活躍を目当てに会場まで足を運んだ観客達も十分満足したものの、


「ここまでさんざ『劇場版エーレマークⅡ』の宣伝ネタで盛り上げといて、結局コルティナが勝っちゃったのか」


 しつこく繰り返される宣伝に洗脳され、心のどこかで映画公開に合わせてエーレの三冠達成を待ち望んでいた一部の層からは、やや肩透かしを食らった様な感想もちらほらと聞こえている。


「宣伝はネタだが試合はガチでやってるんだから仕方ない。その一線だけは流石に守るだろ」

「試合以外ではやりたい放題だけどな。見ろよ、あの横断幕」


 彼らの視線の先では、ララメンテ家の応援団が、


「今年最後の総決算! 物販コーナーにてセール開催中!」


 という応援と全く関係ないふざけた横断幕を堂々と掲げており、


「やりたい放題にも程がある」

「なぜ誰も止めなかった」

「誰も止められなかったんじゃないのか。逆に」


 改めてコルティナの何事にもとらわれぬフリーダムぶりを世に知らしめていた。


 さらにそれだけに留まらず、二年越しとなる優勝インタビューでもコルティナの暴走は続き、


「はい、では皆さん、お待ちかねー。近日公開予定の『劇場版エーレマークⅡ』の見所を、時間の許す限りたっぷりと解説させて頂きまーす!」


 今まではどの優勝選手も最後に一言触れる位だった映画について長々と語り出し、その巧みな話芸で数万の観客を大いに魅了した後、


「えー、残念ながら、そろそろお時間となりましたー。最後に今年の一連の全国大会を武芸と芸能の両面から盛り上げてくれたレングストン家のエーレ選手に、もう一度盛大な拍手をお願いしまーす!」


 その一言を合図に観客席から温かい拍手を引き出し、それまで他人事の様に眺めていたちっちゃなエーレを不意打ちで赤面逆上させる事に成功する。 


「映画の宣伝の為とは言え、はたしてここまで晒し者にされる必要があったんだろうか」


 そんな本音を隠しつつ、仕方なく観客席に向かってとっさの作り笑顔で手を振るエーレ。


 多分ここまでされる必要はなかったのだが、もちろん後の祭りである。

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