表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十七章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅠ 「宣伝」
533/631

◆533◆

 エディリア剣術御三家の中で最も生真面目なイメージのあるレングストン家が、今回の大会ではこれまでになく商業主義に毒され、もとい「劇場版エーレマークⅡ」の宣伝に力を入れていた事を受けて、


「お堅いレングストン家があそこまでやったんだから、柔らかさに定評のあるウチの大会としては、もっと派手に『劇場版エーレマークⅡ』の宣伝をやりたいよねー」


 エディリアの剣士の中で最もやりたい放題なイメージのあるコルティナが、またロクでもない事を言い出した。


「いや、そもそもウチと『劇場版エーレマークⅡ』は関係ないし。コルティナが映画に出てるって言っても、ほんの一瞬だけなんでしょ」

「無関係なウチが勝手に『劇場版エーレマークⅡ』の名前を使うと怒られない? よく知らないけど商標とかその辺の権利関係で」

「ってか、『柔らかさに定評がある』って何よ。ウチの道場は柔軟剤か」


 効かないと分かっていても一応釘を刺しておくララメンテ家の本部道場の仲間達。


「無関係じゃなければいいんだー?」


「うん、もしウチが映画の資金提供とかアクションの監修とかしてたら話は別だね」

「でも資金はアウフヴェルツ社、アクションの監修はレングストン家がほぼ一手に引き受けてる訳でしょ」

「普通に考えて、アウフヴェルツ社とレングストン家のPR映画だよね。ウチが入る余地はないと思う」


「はい、そこで便乗商法ですよー、奥さん」


「誰が奥さんだ。あんたは通販番組の胡散臭い司会者か」

「便乗ってまさか、レングストン家の大会で売ってた『劇場版エーレマークⅡ』のグッズをウチの物販で売るつもり?」

「同人誌の委託販売じゃないっての」


「既存のグッズを売りさばいても二番煎じだよー。どうせ売るなら、新たに開発した商品を用意しないとー」


「しれっととんでもない事言いだしたよ、この女は」

「途方もない話だけど、あんたが言うと冗談に聞こえないから怖い」

「一応今はウチの全国大会に向けて全力を注ぐべき時期なのは分かってるよね? 新商品の開発なんかやってる暇ないよね?」


「ウチとつながりのあるアトレビド社にコラボの話を持ちかけるんだよー。お菓子のパッケージを『劇場版エーレマークⅡ』のイラスト入りの物に差し替えて期間限定で売るのー」


「軽く言うけど、それすごく大変な作業じゃない」

「一人のしょうもない思い付きで製菓会社の商売を自由にしようなんて、おこがましいとは思わんのかね?」

「パッケージ以前に、権利関係をクリアするだけでも時間と手間と費用がかなりかかるでしょうに」


「大丈夫ー、アトレビドのお偉いさんとエーヴィヒさんに話を通せば、権利関係はクリア出来るからー。パッケージの差し替えだけなら、物販コーナーで売る程度の数を大会開催までに何とか用意出来るよー。で、そこで売れ行きを見てー、好評ならそのまま正式に全国展開に持ち込んでもらうのー」


「お前はアトレビド社を裏から操る悪の幹部か何かか。一介のCMタレントじゃなかったのか」


 しょうもない与太話が妙に現実味を帯びた大きなビジネスに化けそうになり、驚き呆れる仲間達に対し、


「うふふ、お祭り騒ぎには全力で乗らなくちゃねー」


 商業主義をも利用して遊び倒そうと企むコルティナがふわふわと微笑む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ