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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十七章◆◆ ちっちゃな剣士が操縦する巨大ロボットについてⅠ 「宣伝」

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◆517◆

 月日の経つのは早いものだが、何かに夢中になって取り組んでいる時はさらに早い。


 ランゲ監督以下製作スタッフが一丸となって「絶対名作にしてみせます!」と大見得を切って力を入れまくり、結果、「劇場版エーレマークⅡ」の製作スケジュールが当初の予定より大幅に遅れて行く中、その年の御三家による一連の剣術全国大会の開催時期がやって来る。


 まずマントノン家の大会が注目選手のいない小学生の部からひっそりと地味に始まり、続いて「大道芸人」パティが出場する中学生の部、「巨大怪獣」ミノンが出場する高校生の部が、昨年同様大いに盛り上がりを見せ、両者共に危なげなく優勝を飾ってマントノン家の面目を保った。


「新しいデータが分析されない内は、レングストン家とララメンテ家が不利なのも仕方ないさ」


 そんな事を言い合いつつも会場に詰めかけた観客達は、マントノン家が擁するこの二人のスター選手の活躍に大満足。


 しかしその後の一般の部の直前には、


「レングストン家からはエーレだけ、ララメンテ家からはコルティナだけが遠征して、他の選手は来ないそうだ。逆にマントノン家は一線級の選手の出場を幾分控えるらしい」

「手持ちのカードを全部投入してあの二人に負けたら面目が潰れるって事なんだろうけど、何かなあ」

「大人の事情って奴か。何も考えずにぶつかって行ける小中高の部は、かなり恵まれた環境だったんだな」


 専守防衛路線を採択したマントノン家に対し、そんな不満がちらほらと漏れていた。


 もっとも大半の観客にとっては、「エーレとコルティナの活躍が観られればそれでいい」のであり、この二人を迎え撃つマントノン家側の剣士達の情報など、名前や顔すら知らないレベルであるのが実情である。むしろ、


「『劇場版エーレマークⅡ』にシェルシェとコルティナが友情出演する」


 という剣術とは何の関係もない情報の方が重要だった。


「やっぱり、一般の部ともなると勝敗の一つ一つが大きく流派の看板に関わってくるから、外交的な配慮も必要なんだろうよ」

「御三家間の看板を懸けたガチな抗争に発展したら、剣術以外の謀略戦でドロドロになりそうだもんな。せっかく小中高の部で健全な交流試合をやってるのに、全部ぶち壊しになる」

「戦争が勃発するとスポーツの世界大会が開催出来なくなるのと同じか。ま、平和が一番って事だ」


 改めて平和の尊さを再確認する観客達。


 会場内を見渡せばマントノン家の大会にも拘わらず、観客席のここかしこで「エーレマークⅡ」と「八代目ふわふわ魔女」の萌えイラストが描かれた応援旗が振られており、平和というより占領下といった感が強かったのだが。

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