表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

450/638

◆450◆

 場内の熱狂冷めやらぬ中、試合直後にパティから痴漢まがいの熱烈なスキンシップをされた影響も加わって、緊張と混乱と興奮で一杯一杯な状態のまま、優勝インタビューに臨み、


「とにかく、無我夢中でした。心を鎮めようとして、横断幕に書かれていた文章を頭の中でひたすらリピートしながら戦って、気が付いたら優勝していた感じです」


 夢見心地で、横断幕のありがたいご利益を報告するサリダ。


「サリダ、なんかカルト宗教に洗脳された人みたい」

「ひどい目にあってるのに、自分は幸福だと思い込んでるアレね」

「今すぐこの横断幕を焼き捨てれば、洗脳が解けるかも」


 そんなサリダを憐れみつつ、自分達が掲げさせられている恥ずかしい横断幕をディスるララメンテ家応援団の皆さん。 


「うんうん、私も苦労して、この横断幕を用意した甲斐があったよー」


 そんな仲間達の当てこすりを全く意に介さず、これみよがしに大きなハンカチを顔に当て、感涙にむせぶフリをするコルティナ。もちろん涙など出ていない。笑っている。


「カルト宗教の教祖が何か言ってるわ」

「もしくは、無垢な子供を怪しげな魔術で惑わす魔女といった所ね」

「とりあえず魔女狩りと魔女裁判やっとく?」


「ひどーい! 私のどこが魔女だっていうのー?」


「上から下まで全部」


 黒いトンガリ帽子に黒いローブ姿のコルティナに、皆から総ツッコミが入るいつもの光景。


「あはは、またやってる」

「ほんとブレないなあ、ウチの応援団は。まあ、そこがいいんだけど」

「ブレないっていうより、コルティナさん一人に振り回されてる感じだよね」


 サリダ以外のララメンテ家の選手達が、観客席の応援団を見上げながらしみじみと言う。


 そこへ、優勝インタビューを終えたサリダが顔を真っ赤にさせながら帰って来て、


「ああ、緊張したぁ。ねえ、私インタビューで何か変な事言ってなかった?」


 と不安げに仲間達に尋ねた。


「大丈夫。あの横断幕に書いてある文章に比べたら、全然変じゃない」

「ってか、コルティナさんの優勝インタビューより変な事言える訳がないから安心して」

「むしろ、コルティナさんに後でダメ出しされるよ。『優勝インタビューはねー、もっとはっちゃけなくちゃダメだよー』とか」


「ははは、似てる!」


 コルティナの物まねに笑わされ、ようやく落ち着きを取り戻すサリダ。


 この様にその場にいてもいなくても、ララメンテ家の道場生達をふわふわと振り回し続けるコルティナだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ