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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第三章◆◆ B級ホラー映画を鑑賞して殺人鬼を研究する小学生女子について
45/632

◆45◆

 甲冑に七人の首が刎ねられ、今や屋敷の中の生存者は男子学生と女子学生の二人のみ。


 女子学生の方は、屋敷内を甲冑にしつこく追い掛け回され、時々剣で斬りつけられる度に、着ている服がズタズタになり、白い柔肌が露わになっていくという辱めを受けていた。わざとやってないか、甲冑。


 ついにスカートまで剥ぎ取られ、上は風通しのいい穴あきシースルー、下はパンツ一丁という、実にけしからん姿に成り果てた頃、女子学生はほうほうの態で、地下倉庫に逃げ込み、


「ここなら、大丈夫」


 と呟いた瞬間、背後から肩に、ポン、と手を置かれる。


「ギャッ!」


 悲鳴を上げたのは女子学生ではなく、驚いた彼女が振り向きざま放った鋭い拳を、顔面に食らって倒れた男子学生の方だ。


 女子学生は詫びつつ、男子学生を助け起こすと、男子学生は地下倉庫の照明を点け、女子学生のあられもない姿を一目見て、すぐに自分の着ていたジャケットを脱ぎ、


「とにかく、これを着て」


 と差し出した。


 ここにはいないが、男性の観客の半数以上の、


「余計な事するんじゃねえ!」


 という声なき声が聞こえてくる一方、大き目のジャケットの下端からのぞくパンチラ姿に、


「これはこれでアリ!」


 という声なき声も聞こえてくる。ダメだこいつら。


 それはともかく、周囲を見回せば、地下倉庫だけあって色々な物が置いてある。


「何か使えそうな物を見つけよう」


 男子学生が提案し、二人であちこちを探し始めると、すぐに女子学生がとある木箱の蓋を開け、


「あったわ、こんな所にプラスチック爆薬が! 起爆装置一式も!」


 と笑顔で振り向いた。


「でかした! これで勝つる!」


 男子学生も、笑顔でそれに応える。


「なんで没落貴族のお屋敷の地下にプラスチック爆薬が……しかも、それを一目で分かる女子学生って……」


 ひどいのを通り越して、もう無茶苦茶なこの映画の世界観に、ソファーから転げ落ち、床に引っくり返って笑うコルティナ。


 一方エーレは何が何だかわからないながらも、クライマックスが近付いている事を予感して、ハラハラドキドキが止まらなかった。素直な、いい観客である。

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