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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

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◆437◆

 前回、巨大怪獣に敗れた戦闘ロボットが、科学者の手によってパワーアップされ、今回、マークⅡとなって再戦を挑むという、子供向け番組に例えるならば、スポンサーの玩具メーカーの意向が露骨に反映される中盤辺りのテコ入れ回にも似たこの戦い。


 試合場に現れた、エディリア剣術界を代表する大小二人の美少女剣士を前に観客達は、


「そう、戦闘ロボは倒されてからが本番なんだよ」

「パワーアップしたロボは、派手な新必殺技を決めて敵を倒すんだ」

「今だ、出撃! エーレマークⅡ!」


「いやいや、巨大怪獣は科学の粋を凝らしたロボットを何度でもブッ倒すものさ」

「神の化身たる巨大怪獣は、人智の限界を思い知らせる役割と相場が決まってる」

「行け、巨大怪獣ミノン! 科学万能主義という薄っぺらな幻想を打ち砕け!」


 女子高生に向けるのに相応しいとは到底考えられない、子供っぽくもマニアックな声援を嬉々として叫んでいる。


 そんな童心に帰り過ぎた大人達をよそに、ちっちゃなエーレは試合開始早々に勢いよく突進し、左の短剣で前方をガードしつつ、右の長剣をミノンの頭部に振り下ろす。


 先のマントノン家の大会ではこの先制攻撃で一本取ったエーレだが、今度はミノンも学習したのか、すぐさま中段に構えていた剣で相手の攻撃を受け止め、そのまま力に物言わせてじりじりと押しまくった。


 上からのしかかる巨大怪獣の剣を、クロスした二剣で支える様に受けて耐える小さなロボ。今にも潰されそうな構図だが、ちっちゃくても高性能なエーレはそう簡単には潰れない。もっとも潰した所で一本にはならないのだが。


 互いにゆっくりと離れ、やや間合いを取ってのにらみ合いから、前に出たエーレが二剣を複雑に振り回して乱打戦を仕掛け、ミノンはこれを荒々しく防ぎながら、エーレに逆襲の一打を浴びせようと奮闘する。


 見た目にも派手なこのチャンチャンバラバラに、観客達は大熱狂。


 息つく間もない一進一退の攻防が続くが、二人の剣士は全く疲れを見せず、逆に打ち合いをエスカレートさせて行く始末。


 この激しい戦いの中、ついにエーレの放った右長剣の片手突きがミノンの喉元を捉えて、この巨大怪獣を後方に大きくのけぞらせ、これが一本と認められる。


「ミノンのリズムがどんどん一本調子になってたねー。戦いに夢中になり過ぎると、難しい事を考えられなくなるのがあの巨大怪獣の弱点だよー」


 試合を間近で見ていたコルティナが、ララメンテ家の仲間達に解説する。


「エーレの作戦勝ちって事?」


 仲間の一人が尋ねる。


「かもねー。乱打戦を仕掛けて巨大怪獣をカッカさせればこっちのもの、とかー」


「簡単に言うけど、普通はそこへ持っていくまでにやられるから」

「同じ芸当は私達には無理だわ」

「もっとも、コルティナはどんなに乱打戦を仕掛けられてもカッカしなさそうだけど」


「そうだねー。『気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命長かれ』が私のモットーだしー」


「待て、誰がいつ口を慎んだ?」


 そんなボケとツッコミをよそに、試合場では一本先制を守り切ったエーレマークⅡが、巨大怪獣ミノンに判定で勝利し、自家大会での優勝を決めていた。

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