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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

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◆432◆

 その後もレングストン家の量産型ロボット、もとい選手達は、ミノン、コルティナという外部からの強豪相手に怯む事なく戦いを挑み、時には勝利まであと一歩の所まで追い詰める場面も見られるなど、先日のマントノン家の大会の時とは打って変わって、VR特訓の成果を観客達へ十二分に知らしめたが、


「レングストン家の選手は、あの二人から結構一本取ってるよな。ただ、どうしても二本目が難しい」

「大物相手に一本取って『もしかしたら勝てるかも』って思い始めると、逆に委縮するのかもな。万一あの二人に勝ったら、後々まで語り継がれるレベルだし」

「そんなに委縮してる様には見えんがなあ。ロボットみたいな無機質な動きだから余計に」


 強豪を相手にする時の妙にロボットっぽい動作が、どうしても見る者の心に強烈なインパクトを残さずにいられない。


「やっぱり、エーレマークⅡのイラストの影響はすごいねー。皆、あれでロボットのイメージが刷り込まれちゃったんだよー」


 そんな状況について、ふわふわと勝ち進むコルティナが、あさっての方向から意見を述べる。


「まだ言うか。大体、当のエーレはそんなにロボットっぽい動きをしてないでしょうに」


 ついツッコミを入れてしまうララメンテ家の仲間達。


「そもそも最近のロボットはロボットらしからぬ動きしてるよねー。二足歩行する人型ロボットとか、まるで中に人が入ってるみたいだしー」


「あー、アレは確かにすごい。走ったり、階段上ったり」

「水筒からジュースをコップに注いでるの見た事あるわ。ちゃんとフタを手で開けて」

「いずれはロボット剣士も実用化されるかもね」


「ロボット剣士が完成したら、ウチにも一台欲しいねー」


「いいね、本物のロボット剣士と試合出来たら面白そう」


「道場主を倒したロボット剣士に道場を乗っ取られたりしてー」


「ロボット剣士強過ぎ」


「そうしたら、道場を奪い返すべくー」


「皆で特訓するの?」


「いや、別のロボット剣士を用心棒に雇うのー」


「他力本願だな」


「『先生、お願いします』、『おう、任せとけ』って感じでー」


「ロボット剣士、すごくガラ悪そう」


「激闘の末、道場を奪ったロボット剣士は、用心棒に雇ったロボット剣士に敗れてー」


「無事、道場を取り戻して、めでたしめでたし、ね」


「いや、今度はその用心棒のロボット剣士に道場を乗っ取られましたー」


「雇った意味ないな」


「そこで、道場を奪い返す為に、また別のロボット剣士を雇ってー」


「雇うな。懲りろ」


「いつしか、道場はロボット剣士だらけにー」


「話の途中だけど、ほら、もうすぐ試合でしょ。そろそろ準備しときなさい」 


 何の未練もなく与太話を途中で強制終了させてコルティナを試合に送り出す、ララメンテ家の仲間達。


 まさか優勝候補の大物が、待機中にこんなしょうもない話をしていたとは夢にも思わず、


「見た目はああしていつも通りふわふわしてるが、コルティナも内心はうかうかしていられないだろうよ。レングストン家のロボットは思ったより高性能だからな」


 などと、したり顔で推測する観客達。


 確かにコルティナは、「高性能なロボットにうかうかしていられない」、という内容の話をしてはいたのだが。

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