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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

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430/638

◆430◆

「萌えロボ化とは意表を突かれたねー。これはウチもうかうかしてられないよー」


 観客席で大きなお友達が掲げている応援旗に描かれたエーレマークⅡのイラストを見上げながら、初戦に勝利して仲間達の元に戻って来たコルティナが、試合と全く関係ない事をのたまった。


「いや、ロボより、今の試合どうだったのよ?」

「レングストン家の選手のVR特訓の効果は?」

「何か注意すべき事はある?」


 妄言をスルーして、必要な情報だけを取り急ぎ聞き出そうとする仲間達に対し、コルティナは、


「一言で言うとマークⅡ」


 よほどマークⅡが気に入ったらしい。


「意味分からん」


「この前のマントノン家の大会の時に比べて、明らかに精度が向上してたねー。こっちの癖をよく見抜いて対応してると思ったけどー」


「けど?」


「表情や仕草につい出ちゃうんだよー。『これから仕掛けるぞ』って、気負いがねー」


「向こうの動きも分かり易くなってるって事?」


 コルティナがもたらす断片的ではあるが有益な情報に、仲間の選手達は辛抱強く耳を傾ける。まるで酔っ払い相手に事情聴取を行う警官の様に。


「もちろん、そんなにあからさまではないにせよ、この前に比べて明らかにマークⅡだねー」


「マークⅡから離れて。まあ、かろうじて言いたい事は分かるけど」


「動作のきっかけに注意して、くれぐれも相手のペースに乗らない様にねー。それと、エーレマークⅡへの対抗策だけれどー」


「だからマークⅡから離れろ。さっきのエーレの試合を見てて、何か分かった?」


「ウチも、応援用の横断幕に何かイラストを描くのはどうかなー?」


「違う、そっちじゃない」


「この大会が終わったら、何かインパクトのあるイラストを募集するよー。採用された人には、アトレビドのお菓子の詰め合わせセットを賞品として進呈するからー」


 仲間達は、やれやれ、といった表情を浮かべつつ、


「あのふざけた文章を削除してイラストだけにするのなら、アリかもね」


 有益な情報を引き出す為、仕方なく与太話に少し付き合う事にする。認知症気味の患者の昔語りに付き合わされる看護師の様に。 


「え、当然、文章は残すよー?」


「残すな」


「むしろボリュームを増やそうかとー」


「増やすな」


「で、イラスト案としてはねー」


「人の話を聞け」


「向こうがロボなら、こっちもロボにしたらいいんじゃないかと思うのー」


「コルティナを萌えロボットにするの?」


「ううん、全然関係ない人をー」


「それじゃ意味ないでしょ!」


 そんな風にコルティナに煙に巻かれながら、知らず知らず緊張がほぐれるララメンテ家の選手達。

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