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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

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◆429◆

 レングストン家の剣術全国大会高校生の部では、御三家令嬢対決に加え、「パティをも制したアウフヴェルツのVR特訓が、ミノン、コルティナにどこまで通用するか」という興味深いテーマもあり、試合が始まる前から、観客達はあちこちで思い思いに持論を熱く語り合っている。


「変幻自在な『大道芸人』パティが、ああも見事に封じられたんだ。昔っから一本調子で猪突猛進型のミノンは、なおさら格好の餌食だろ」


 先のマントノン家の大会で優勝した「巨大怪獣」ミノンが、今回はやや不利と見られ、


「コルティナも、戦闘スタイルが昔から変わらないって言えば変わらないが、そもそもあのふわふわしたとらえどころのない動きをVRで完全に再現出来るのか?」


 ふわふわなコルティナはふわふわなだけに不確定要素が大きく、有利とも不利とも決めかねられているものの、


「まあ、いずれにせよ、レングストン家にはエーレがいるからな。しかも今回のエーレは、エーレ改めエーレマークⅡにバージョンアップしてるだろうし」


 やはり総じて最有力優勝候補と見られているのは、アウフヴェルツ社の全面的なバックパップを受けて敵の最新データをVRで解析し、自家防衛戦に全力で立ち向かうエーレ、人呼んで「エーレマークⅡ」である。


「エーレマークⅡ! エーレマークⅡ!」


 観客席の一角を占める大きなお友達が、試合前に連呼を始めるものの、


「『マークⅡ』って何よ。でも、今大会からバージョンアップしてるっていう意味なら、私だけじゃなく、ウチの選手全員が『マークⅡ』と言ってもいいわね」


 いつもの「ツンデーレ」コールに比べればまだマシと思ったのか、エーレもさほど気を悪くしていないらしい。


「よし、今だ! 用意して来たエーレマークⅡの応援旗を掲げろ!」

「ラジャー!」


 しかし、その大きなお友達が掲げた巨大な旗に、戦闘ロボアニメ風にデフォルメされた、二刀を構えた防具姿の自分の二頭身萌えキャラが描かれているのを見せつけられるに及び、


「勝手に人をおかしなロボットに改造するなあっ! しかも二頭身って、イヤミか貴様ら!」


 と、思わず叫びそうになるエーレ。ロボ化よりも、ちっちゃな体をさらにちっちゃく描かれた事にお冠のご様子。


 一方、エーレを激昂させた応援旗を見た他の観客達は、


「見て見て、あの旗に描いてあるロボットのエーレ、かわいいー!」

「才能の浪費、もといファンのエーレ愛をひしひしと感じるな。無駄に絵の完成度が高い」

「これはアウフヴェルツも一枚噛んでるんじゃないか? グッズ展開の布石だとしたら上手い宣伝だ」


 対照的に、このエーレマークⅡの絵を好意的に迎え入れる。


「もしもし、広報ですか? 今日の大会が終わったら、至急応援旗をデザインした人を探し出して、商品化の交渉を始めたいのですが。次の新製品の販促グッズに間に合わせたいんです」


 ある意味大きなお友達の総元締めとも言えるエーヴィヒに至っては、すぐさま携帯でアウフヴェルツ本社に連絡を取る始末。


 こうした様々な思惑が交錯する中、気を取り直したエーレは、ララメンテ家の選手から立て続けに難なく二本先制して初戦を飾り、


「よし! エーレマークⅡはちっちゃくても無敵だあっ!」

「戦え、我らのエーレマークⅡ!」

「負けるな、我らのエーレマークⅡ!」


 大きなお友達の心ない応援に、


「やかましいわ!」


 と、言い返したくなるのをグッとこらえていた。


 熱血上等なエーレも、スポ根ではなく戦闘ロボアニメのノリはちょっと苦手らしい。

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