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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十四章◆◆ 圧倒的な才能と最新鋭の技術と天賦の洞察力との三つ巴戦について

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419/638

◆419◆

「レングストン家もララメンテ家も、『大道芸人』のデータは分析済みらしい」


 薄々そんな事を察し、パティの圧倒的な強さを見る事が出来ず、さぞかし観客達もがっかりするかと思いきや、そこは「大道芸人」パティ。その一試合一試合を、別の意味で目が離せないものにしてしまう。


 あたかも危険なスタントに挑む際、何の苦もなく成功させるのではなく、わざと小さなミスをやらかして観客をハラハラドキドキさせるプロのエンターテイナーの様に。


 もちろん公式試合でわざと手を抜く事など考えられないが、それでもギリギリの危うい場面が多くなり、その度に観客席からは思わず、


「ああっ!」


 というどよめきが起こる。


「今の危なかったな。一本先制されたまま、時間切れになるかと思った」

「残り数秒で連続二本取って逆転する辺り、『大道芸人』らしいと言えばらしいが」

「レングストン家もララメンテ家の選手もかなり善戦してるけど、やっぱりこの大会の主役はパティだな」


 シェルシェからタダでもらったチケットで観戦中の「全国格闘大会推進委員会(仮)」のメンバー達も、マントノン家への義理とか関係なく、気が付けば皆パティを応援していた。


「こうしてリアルタイムで大会を観戦してると、あの子が天性のスターだって思い知らされるな。剣術の試合ってのは防護マスクを被るから、せっかくのキレイな顔も見えなくなって誰が誰やら分からなくなるもんだが、パティはすぐ分かる」

「ああ、立ち居振る舞いに華があるからよく分かるわ。たった一人でこれだけの数の客を魅了しちまうのも無理はない」

「こういうのは、もう持って生まれた才能みたいなもんなんだろう。俺達が真似しようったって無理だ。正直、俺達が防護マスク被ったら、観客は見分けがつかなくなると思う」

「防護マスク被らなくても、『あいつ誰?』状態だろうけどな」


 国民的スターを前に改めて自分達の知名度のなさを思い知らされ、全国格闘大会実現までの道のりがより一層長く感じられたメンバー達。


「つまり、このまま俺達が全国格闘大会を実現させたとしても、無名のお笑い芸人を集めて作った低予算番組みたいになる」

「おい、やめろ」

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