表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十三章◆◆ 魔女と幼女と姫と騎士の四連CMについて
393/635

◆393◆

 美少女剣士による四連CMで、一人だけ本人の意思に反して幼女扱いを受け、ご機嫌斜めのエーレの元へ、


「でも、可愛かったからいいでしょ? 結果オーライだよー」


 全ての元凶であるコルティナが、まったく悪びれずにふわふわと遊びにやって来た。


「よくないわよ! あなたが余計な事しなければ、私も冒険活劇風のCMだったのに!」


 その反省の色のなさに、イラッとするエーレ。


「冒険活劇風だと、幼女の姿の妖精役? それは私も見たかったなー」


「誰が幼女だ! 剣士役よ!」


「うん、ちびっこ剣士もいいねー」


「『ちびっこ』は余計!」


「まーまー、またアトレビドからもらったお菓子を一杯持って来てあげたから、食べながら話そうよー」


「私はお菓子に懐柔されるちびっこじゃない!」


 エーレの抗議をふわふわと受け流しつつ、レングストン家の屋敷の応接間までやって来たコルティナは、持参した段ボール箱の中から、封筒サイズのカラフルな袋に入った菓子を取り出して見せ、


「特にこれなんかお勧めー、サムライの国の子供達に大人気のロングセラー商品でー、美味しいのはもちろん、楽しく遊べるお菓子だよー」


「楽しく遊べるお菓子?」


 エーレの興味を惹く事に成功する。


「このプラスチックのトレイのくぼみにー、粉と水を入れてこのプラスチックのスプーンでよく練るとー、あら不思議、白い粉が段々青くなってふくらんできまーす」


 実演販売員よろしく、慣れた手つきで袋を開け、すぐにお菓子作りの作業に取り掛かるコルティナ。


「あ、本当に青くなった」


「で、もう一つの粉を加えて練るとー」


「今度は赤紫になるのね」


 練れば練るほど色が変わっていく様子に、さっきまで抗議していた事も忘れてつい見入るエーレ。


「で、この色の付いたクリームをスプーンですくって、キャンディチップを付けて食べるのー。お一つどうぞー」


 そんなエーレにコルティナがスプーンを手渡し、エーレはそれを一口食べ、


「うん、結構美味しいじゃない」


「そこは、『うまいっ!』と叫ぶのがお約束だよー」


「何よそれ?」


「今度、私が魔女の格好でCMに出てBGM付きで実演するからねー。テーレッテレー♪」


「よく分からないけど、あなたも大変ね。次から次へと」 


 それからしばらくの間、エーレはこのお菓子が気に入ったと見え、子供の様に夢中になってカラフルなクリームを練る事に没頭していた。

 

 その姿を見る限り、周囲から幼女扱いされるのも無理はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ