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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十三章◆◆ 魔女と幼女と姫と騎士の四連CMについて
389/635

◆389◆

 大型百貨店ヴェローチェとユールズモン宝飾店が、互いの利益の為に手を組んで制作した続き物のCMの内容は以下の通り。


 まず前編のヴェローチェ編。


 真夜中、月明かりに照らされた王宮の庭園を一人散歩する白いドレスのお姫様ことパティ。


 気持ちの良い穏やかな夜風に吹かれて、その円錐形に裾が広がった豪華なドレスを軽くなびかせながら、気品と慈愛に満ちた美しい笑みを浮かべつつ、手入れの行き届いた低い生垣に沿って歩く姿がスローモーションで映し出され、まるでおとぎ話の絵本の挿絵の様な、幻想的な効果を醸し出している。


 ふと、立ち止まって、右手を高く差し上げ、指をパチンと鳴らし、


「ヴェローチェ」


 と呟く。


 すると、パティ姫の前の地面に青白く光る魔法陣が出現し、そこから蒸気の様に立ち上る淡い光の粒子に包まれて、白銀の甲冑を身に着けた美青年騎士ミノンが召喚されて登場。


 騎士ミノンはパティ姫の前に進み出ると、恭しくその足下に片膝を突いて跪き、パティ姫が差し出した右手を取って、その手の甲にキスをする。


 月の輝く夜空を背景に、この美少女の姫と美青年の騎士が互いに見つめ合っている場面のアップになり、


「ヴェローチェは、いつでも最高のモノをご用意致します」


 というテロップが入って終了。


 内容自体は無茶苦茶かつ意味不明ではあるが、お姫様姿のパティの幻想的な美しさを視聴者の心に強く刻む仕掛けになっている。


「この前編、魔法だけでなく、剣のシーンもちょっとは欲しかったな」


 撮影終了後、ヴェローチェにご用意された騎士ミノンが、少し残念そうな口調でこぼすと、


「お姫様と騎士がいきなりチャンバラを始めてしまっては、全て台無しですわ、お姉様」


 パティ姫はそう言って口に手を当て、おほほ、と姫笑い。

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