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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十三章◆◆ 魔女と幼女と姫と騎士の四連CMについて
388/635

◆388◆

 コルティナが主にエーレをおちょくる意図で暗躍して成立させたと思われる、アウフヴェルツ社とアトレビド社の連動CMが好評を博したのを受け、


「ここは我々も、あのCMにかぶせて行くべきでしょう」


 マントノン家の美少女剣士、ミノンとパティをそれぞれ起用しているユールズモン宝飾店と大型百貨店ヴェローチェも、既にかなりの精神的ダメージを受けているであろうエーレに追い打ちをかける様に、共同で新CM制作に乗り出す事で合意した。もちろんこの新CMも相乗効果を狙って、先の連動CMの前後にオンエアされる事は決定済みである。


「『幼女のエーレ』、『大人のコルティナ』、と並べて、インパクトを与えるには?」

「ミノンに関しては、今まで通り『男装の麗人』でいいでしょう、女性ファンの期待を裏切る事もないし」

「すると問題はパティか。彼女にどんな役回りを与えるかで、この四連コンボCMの完成度が決まると言ってもいい」


 まるで四コマ漫画のオチに悩む漫画家の様に、パティの扱いに知恵を絞る企画会議の参加者達。


「幼女、大人、が出たからには、変にひねるより、その中間の『ティーンエイジャーの少女』辺りが妥当じゃないかな。そのまんまと言えばそのまんまだが」

「いや、ここはやはり、もう一捻り欲しい。『今までにない意外性がありながら、妙にハマる役柄』を与えたい」

「これまでのパティのイメージと言えば『大道芸人』で、この前はRPG風の『戦う踊り子』だったな。この対極にあるものと言えば」

「『お姫様』はどうでしょう? パティなら絶対似合います。いや、今まで『お姫様』がなかったのが不思議な位です」


 紆余曲折を経て、パティのイメージが「お姫様」で固まると、


「ならばいっそ、ミノンを『騎士』にして、パティの『お姫様』と組ませては?」

「同一の世界観のCMを二本作って、それぞれに二人を出演させるのか」

「前編、後編の続き物にすれば、一度に二本撮れて安く制作できるぞ」


 安直な連想により、ミノンのイメージが「男装の麗人」から一歩進んで「騎士」となり、この「パティ姫」と「騎士ミノン」による冒険活劇風ロマンスが二社の新CMのテーマになる事が決定する。


 アウフヴェルツのCM撮影に当たってエーヴィヒから、「剣士としての要素を取り入れた冒険活劇風にしましょう」、とその気にさせられておいて、土壇場で見事に裏切られたエーレにとっては皮肉極まる決定だったが、この二社のCM制作に関わる人々はその辺の事情を詳しく知る由もない。


 知った所で決定が覆る訳でもなかったが。

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