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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十三章◆◆ 魔女と幼女と姫と騎士の四連CMについて
386/635

◆386◆

 文字通りの意味で騙されて風呂に沈められたエーレが出演した、アウフヴェルツの新CMの内容は以下の通り。


 バスタブに肩まで浸かったエーレが可愛らしく、「いーち、にーい、さーん、しーい」、と数えるにつれて背景が、次々と山や海や空や宇宙などの美麗なCG映像に切り替わって行く。


 カウントの途中でバスタブの泡の中からちょこんと出ている顔がアップになり、カメラ目線でにっこり笑いながら、


「ちっちゃくても、無限の可能性」


 と、キャッチコピーを言った後、それまで数えていた数字を一気にすっ飛ばして、「きゅーじゅーきゅー、ひゃーく!」で、エーレが勢い良くバスタブから立ち上がると同時に、突然新型パソコンの映像が画面中央に現れ、エーレの裸の大事な部分をギリギリのタイミングで隠して終了。


 色気というより可愛らしさが印象に残るこのCMがお茶の間にバンバン流れる様になると、エーレは頭を抱えて、


「生き恥を晒してしまった」


 と嘆きつつも、


「流石にこんなにきわどいCMだと、今度こそお堅いレングストン家の古参達が、『剣士としての品格に欠ける』、と激怒するのでは」


 と、少し心配していたのだが、当の古参達は、


「孫があのCMを気に入ってねえ。風呂に入る時に、ちゃんと肩まで浸かって、『いーち、にーい、さーん、しーい』、と数える様になったよ」


 と、むしろエーレに感謝していた。剣士の品格も孫の可愛さの前にはどうでもよくなる人達なのである。


「今度はエーレが一人でお着替えをしたり、歯磨きをしたりするCMを撮って欲しい、という要望が古参達から出ているが」


 そんなレングストン家当主にして父であるムートの心無い一言に、


「私は幼児向け番組のミニコーナーに出てるちっちゃい子じゃありません!」


 つい声を大にして食ってかかってしまうエーレ。


 また、このCMがエーレの憂鬱に反して大好評となり、新製品の売上げも上々、という報告を持ってレングストン家を訪れたエーヴィヒから、


「この素敵な企画を考案してくださったコルティナさんへ、『アウフヴェルツ社から何か正式に謝礼を差し上げたい』、と申し出たのですが、『素晴らしい作品を制作して頂けた事が何よりの報酬です』と丁重に断られてしまいました」


 そんなちょっといい話を聞かされるも、


「あの愉快犯にエサを与えないでください!」


 すっかり心がささくれだってしまったエーレ。

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